第42回小説推理新人賞受賞作短編集「その意図は見えなくて」

第42回小説推理新人賞受賞作収録のデビュー短編集。
選考委員である、大倉崇裕さん・長岡弘樹さん・湊かなえさん
絶賛で 満場一致!の推理小説
「その意図は見えなくて」読了。

学校の人気者が生徒会長に立候補した。
彼を応援する友人の応援演説は素晴らしかった。
ところが、票を開けると通常ではありえないほど
白票が多かった。
生徒会の選挙担当係は疑問を持つ。
いじめなのか?そんなはずはない・・・。
白票が意味するものとは?
小説推理新人賞受賞作「見えない意図」改題
「その意図は見えなくて」

陸上部の部室が何者かに荒らされた!
部員の一人が、誰がやったのか推理してみた。
リレー選手3人なのか?
それとも、やり投げの選手なのか?
彼の推理は合っているようで、合ってない・・・。
真犯人は誰?何が目的?
「合ってるようで合ってない」

陸上部、他校との合同合宿中、成績の振るわない
生徒が姿を消した。
いったいどこに消えたのか?
まさか女子寮!?
それは、まさにルビコン川を渡るほどの
勇気がいるのに・・・?
「ルビコン川を渡る」

中学時代の苦いエピソードを語り合う、女子生徒と
女性英語教師。当時の女友達が誤解を受けて
クラスで浮いてしまった事件。
調整役で奔走したのはクラスメートの男子生徒だった。
誤解を生むように仕向けた奴がいた・・・。
「その訳を知りたい」

大量のパンフレットが紛失した。
生徒会の委員たちが手分けして探し出すと
焼却炉の前に置いてあった。
こんなにたくさんのパンフレット、
誰が何のためにどうやってここに運んだのか?
先輩たちは様々に推理してみせるが・・・
「真相は夕闇の中」

負けられないあいつ、気になるあの子、気が付けば隣にいる彼……
高校生活の日常を切り取って謎を仕掛ける。
連作短編でどの作品もひねりが効いていて面白い。

今どきの高校生あるあるも取り入れながら、
信頼していた人に裏切られても、大人な対応の女子生徒が
かっこよく描かれていたり、誰かを守るために
奔走する男子生徒の優しさに胸を打たれたり・・・。
謎解きを堪能しつつ、高校生の友情や絆の強さに
深く心を動かされた。

様々な感情に翻弄される高校生達。
彼らの人間関係から巻き起こる
「事件」の謎を解き明かす青春ミステリー。

『その意図は見えなくて』
著者:藤つかさ
出版社:双葉社
価格:1,760円 (本体1,600円+税)