科学捜査に焦点を充てた傑作ミステリー「最後の鑑定人」

岩井圭也さんの「最後の鑑定人」読了。
初めて読む作家さんの作品。
内容は、はまさき好み!読んだらやっぱり
当たりでした!
とても面白かった。

「彼に鑑定できない証拠物なら、ほかの誰も
鑑定できない」と言わしめた男・土門誠。
科捜研のエースとして期待されながら、ある
事件をきっかけに科捜研を辞職。
そして民間の鑑定所を開業した。

土門は、「科学は嘘をつかない、
嘘をつくのはいつだって人間だ」と常々
思っている。
無駄な話は一切しない変人だが、群を抜いた
鑑定能力で難事件を解決してゆく。
土門とともに鑑定所で働くのは、
データ入力専門の高倉柊子。

女子大生殺害事件で逮捕されたのは、
殺された女子大生の元恋人だった。
その事件の裁判の前に土門のもとに
持ち込まれたのは、2種類のDNA鑑定。
一方は、被疑者が犯人であることを示し、
もう一方は彼が犯人でないことを示していた。
通り一遍の「DNA」鑑定では明らかに
ならなかった驚愕の真実!
「DNA」鑑定の凄さを改めて認識する。
「遺された痕」

技能実習生として縫製工場で働く7人のベトナム人。
雇用主は彼らのことを大切にしてくれる申し分
ない人だった。ところが彼らが住む家から火の手が
あがる。火を放ったのは、ベトナム人の一人。
出火直後に自ら通報してきたが、完全黙秘を貫く!
火災現場を詳細に調べ上げ、炎の動きと現場の
遺留物から放火の真相を導き出す!
その真相があまりにも悲しい。
「愚者の炎」

海から引き揚げた自動車に白骨死体と大量の
宝飾品が見つかった。調べてみると宝飾品は
盗品と判明。
身元の特定をしたい警察から依頼を受けた土門は、
DNA鑑定で停滞する捜査に風穴を開け、さらに
科警研に複顔を依頼する。が・・・。
DNA鑑定と複顔で徐々に白骨遺体の正体が明らかになる
過程が非常に面白い!そして、土門の過去も明らかに!
「死人に聞け」

年配の女性から娘の遺品を鑑定して欲しいとの
依頼が舞い込む。ところが、娘の名前を聞いた
土門は激しく動揺する。その娘とは、元刑事で、
科捜研時代の土門も関りがあった「ある事件」の
後に警察を退職していた。
娘の死の理由と、土門が科捜研を辞めた「ある事件」
の真相とは!?
「風花した夜」

孤高の鑑定人・土門の鑑定で明らかになる事件の真実。

科学的根拠から説得力のある謎解きが非常にリアルで
面白かった。
徹底的に鑑定することで、想像もできなかった衝撃的
過ぎる真相にたどり着く、科学捜査の凄さを
まざまざと見せつけられた。

これはぜひシリーズ化して欲しい!!!

『最後の鑑定人』
著者:岩井圭也
出版社:KADOKAWA
価格:¥1,870(¥1,700+税)