警視庁支援課シリーズ、新局面を描く「誤ちの絆 警視庁総合支援課」

「聖刻」は、犯罪被害者遺族と同じくらい
加害者家族にも寄り添う必要がある
のではないかと問題提起をした作品だった。

その、「聖刻」のヒロイン、女性刑事・柿谷晶が
「警視庁犯罪被害者支援課」から名を改め、
組織再編された「警視庁総合支援課」で活躍する、
彼女の新たな挑戦を描く!
新シリーズの誕生だ。

警視庁犯罪被害者支援課でメンバーを率いて
いた村野は、新たな部署では後方支援に。
プライベートも変化!
出番は少ないが柿谷ほか、総合支援課のメンバー
フォローで登場。

名門高校の男子生徒が、同じ学校に通う
同級生を殺害し、逮捕された。

未成年ということもあり、加害者家族の支援に
回った、柿谷たち。
その事件は、たちまちSNSにあがった。

「聖刻」では、有名なキャスターが加害者
家族となり、SNSで被害にあった。
SNSは、正義の名のもとに加害者家族を断罪する。

そこを心配した柿谷。事の重大さをわかって
いない、加害者少年の父と弟。

しかし、子どもたちのこと、仕事のことで
疲れ果てた父親が倒れてしまう。
彼らの住むマンションの壁面には、すでに
誹謗中傷が書いてあった。

弟の身を案じた柿谷たちは、一時的にでも
避難できる場所を探した。
そんな時、弟の親友が手を差し伸べた。
安心したのもつかの間、今度は弟が親友と
衝突し、親友に怪我を負わせてしまう・・・。

次々と起こるアクシデント、そして、
事件の捜査をする、捜査一課の刑事たち。
加害者家族を守ろうと、彼らと衝突を
繰り返す柿谷。

だが、その捜査中に出合った同級生たち
から聴取した話で、事件の真相は意外な
方向へと向かう・・・。

村野以上に、加害者家族に寄り添う柿谷。
それを理解し、強力する捜査官もいるが、
やはり、柿谷の猪突猛進ぶりは、おなじ
警視庁内で敵を作ってしまうばかりだ。

それを見かねた村野は、柿谷にアドバイスを
するが・・・。

加害者家族に支援は必要なのか?
加害者家族も護らなければならない。
著者の切実な思いがあふれる。

支援課の新局面にふさわしいスタート。

やはり、面白い!!!

『誤ちの絆 警視庁総合支援課』
著者:堂場瞬一
出版社:講談社
価格:¥990(¥900+税)