県警のアマゾネス最大のピンチ!「越境刑事」

県警のアマゾネスの異名をとる、高頭冴子警部が
主人公の警察小説。「逃亡刑事」に続く、
「越境刑事」を読了。

今回、高頭警部は命の危機にさらされる。
そんな中でも、彼女の芯である、「正義」
を全うしようと命がけで闘う姿に心を打たれる。

千葉県警捜査一課で検挙率トップの班を
率い、アマゾネスと異名をとる、
強行犯係の係長の高頭冴子警部は、
正義感が強く、信念もって捜査にあたる
絶対的な上位下達で係をまとめる。
捜査能力にも長け、部下からの信頼も厚い。
身長180㎝、柔道・剣道いずれも強い
そんじょそこらの男どもなど朝飯前に片付ける!

そんな、高頭警部は、最近留学生の不審な
失踪が相次いでいるという噂を耳にする。
その真偽を確かめるために動き出した高頭班。

だが、その数日後、中国国籍で新疆ウイグル
自治区出身の留学生カーリの死体が発見された。
本格的に捜査に乗り出した冴子は、事件の裏に
ある国の捜査機関が絡んでいることを掴む。

そんな矢先、カーリの雇い主のカーディルも殺害された!
さらに、自分の身に危険を感じ、冴子に保護を求めていた
カーリの同僚女性・レイハンが何者かに連れ去られてしまう。
その容疑者を特定した高頭だったが、逃亡されてしまった。

レイハンを救い、事件の真相を暴くため、
冴子と部下の郡山は、中国への捜査を強行するが、
そこで合流した新聞記者とともに、襲撃を受け、
冴子は拉致されてしまう。
そこで冴子は、ウイグル民族が置かれた恐るべき
状況を目の当たりにする。

冴子のおかれた状況は想像を絶する!
日々、命の危険にさらされ高頭は死んでしまうので
ないかと、ハラハラさせられる。
こんな残酷なことがあっても良いのかと、
眼をそむけたくなる。

そんな中でも、絶対に「レイハンを救い出す」という
冴子の強い思いと優しさに泣ける。

著者が命の危険を顧みず、真っ向勝負に出た、
傑作、警察小説!

『越境刑事』
著者:中山七里
出版社:PHP研究所
価格:¥1,870(本体¥1,700+税)