幻のデビュー作!「時計仕掛けの恋人」P・スワンソン

「そしてミランダを殺す」「ケイトが恐れるすべて」
「アリスが語らないことは」など、
予測不能で読者はいったいどこへ連れて
いかれるやら・・とドキドキしながら読み、
驚愕のラストでがつん!とやられてしまう展開が
クセになる、ピーター・スワンソン作品。
そんな彼のデビュー作「時計仕掛けの恋人」を
読みました。

ボストンで、出版社に勤める中年男性
ジョージは、元恋人で、今は仲の良い
女友達とバーで飲んでいるときに、
魅惑的な女性に目を奪われる。
彼女は学生時代に死んだはずの恋人・
リアナに似ていた。

元恋人と店を出て帰路についたジョージ
だったが、どうしても気になり再度
バーに戻ると彼女がいた。
そして、彼女の方からジョージに近づいてきた。

彼女は、やはり死んだはずのリアナだった。
何十年も会っていないのに、リアナは
ジョージに頼みごとをしてきた。
「ある男に狙われている、助けて欲しい」と・・。

詳細を聞いたジョージは、その依頼を
「それぐらいのことなら」と引き受けて
しまった。

大学時代にもリアナから手痛い仕打ちを
受けて傷ついた経験から、関わるべきではない
と知りつつ、リアナの言葉に引き込まれゆく。

しかし、リアナの依頼を受けてしまったことで、
リアナとジョージの周囲で殺人事件が起きる。
そして、ジョージも命を狙われることに・・・。

リアナは再び行方をくらまし、ジョージは
警察から容疑者として疑われる。

ジョージの目線で語られる、リアナという女性。
読んでいると、リアナに翻弄される
ジョージという構成に見えるが、
果たしてどうだろう?本当に悪女なのか?
それとも・・・?

最後の最後まで事件の真相もリアナの正体も
わからない。

予測不能かつ怒涛の展開がこの作品ですでに
確立されている。

読者を引き込む緻密なストーリー展開に
はまってしまう!

P・スワンソンの極上ミステリーを
堪能して欲しい。

『時計仕掛けの恋人』
著者:ピーター・スワンソン
出版社:ハーパーBOOKS(文庫)
価格:¥990(¥900+税)