ユーモア満載!本格ミステリ長編、「仕掛島」

東川篤哉さんの「謎解きはディナーのあとで」は
2011年本屋大賞を受賞した。
ドラマ化・映画化で話題をさらった。

久しぶりに手にした、「仕掛島」は、
東川さんの持ち味が十分に楽しめる
本格推理小説の傑作だ!

弁護士の矢野沙耶香は、父の代わりに
岡山県の名士・西大寺吾郎が遺した
遺言状を公開するために、一族が
集まる斜島にやってきた。
遺言状は2通あり、1通目に従って
一族は瀬戸内海の孤島に集められていた。

船で偶然出会った、探偵・小早川隆生。
彼は、行方不明になっていた一族の一人
鶴岡和哉を探し出した人物だった。

彼らは一族が集まる孤島の「御影荘」
に案内された。
矢野沙耶香は、一族の前で無事に
2通目の遺言状を読み上げていった。
誰もが納得したように見えた・・・

その翌朝、相続人の一人が死体となって
発見される。
死体の状況は、殺人だと思われる。
小早川は警察に連絡するが、嵐のため
船もヘリも出せず、彼らは死体とともに
孤島に閉じ込められる事態となった。

死体発見から、館では次々と怪事件が
起こる。
鬼面の怪人物、消える人影・・・。

探偵・小早川隆生と弁護士・矢野沙耶香は
否応なく怪事件に巻き込まれてゆく・・・。
警察に頼ることができないなか、二人は
殺人事件の犯人を探し出すことに。
やがて、一族が秘密にしていた23年前の
悲劇が明らかになる。

巧妙に配置された伏線、大胆なトリック、
そして、あまりにも悲劇的な真相に
瞠目するが、登場人物たちの軽妙で
ユーモア満載の会話に、思わず
クスっと笑ってしまう。

殺人事件という残酷なストーリーの
中では、それが救いにもなるかもしれない。

探偵・小早川隆生と弁護士・矢野沙耶香の
コンビが良かった。

『仕掛島』
著者:東川篤哉
出版社:東京創元社
価格:¥1,980(本体¥1,800+税)