刑事・毒島シリーズ第1弾!「作家刑事毒島」

先に第2弾「毒島刑事最後の事件」を
読んでしまい、しまったと思ったのですが、
順番として良かったかなと・・・。
その毒島の犯人を追いつめる毒舌の
鋭さにすっかりはまってしまいました!

刑事を辞めた後、人気作家となった毒島。
しかし、刑事として優秀だった毒島は、
刑事技能指導員として警察に復職。
作家と警察官、二足の草鞋で忙しい日々を送る。

新人賞の選考に関わる、下読みを担当する
編集者が刺殺死体が発見された。
何度も新人賞に応募しては下読み段階で
振り落とされ、その編集者に恨みを
持つ三人が容疑者として浮上するが
捜査は難航する。
そこで捜査一課の犬養刑事は、作家の
毒島を訪ねるよう、新人刑事・
高千穂明日香に助言する。
【ワナビの心理試験】

編集者としてとびきり優秀だった
男が変死体で発見された。
警視庁捜査一課の犬養と高千穂らが
捜査を開始すると、殺害された編集者は
二人のラノベ作家とトラブルを起こして
いたことが判明する。
容疑者を二人に絞ったが鉄壁のアリバイがあり、
またしても捜査は行き詰まってしまう。
高千穂は、毒島の仕事場所へ向かう。
【編集者は偏執者】

エンタメ系の賞で最も歴史のある新人賞の
授賞式。あるベテラン作家は、今回受賞した
新人作家の受賞に最後まで反対していた。
しかし、出版業界を盛り上げるためということで
受賞を決めてしまった。
デビュー後に作品を発表できない未熟な
新人作家に厳しい発言をするベテラン作家。
そのベテラン作家の無惨な死体が
彼の事務所で発見される。
シュレッダーに巻き込まれた死体・・・
事故か殺人か?
【賞を獲ってはみたものの】

書評家気取りで、ブログで作家の作品をおとしめる女性。
作家に恋愛感情を持ち、ストーカーまがいの
行動を繰り返す女性。
作家希望の女性。ある作家の作品と自分の作品の
類似点を探しその作家に自分を売り込もうと必死だ。
そんな3人は、ある作家のイベントに参加した。
おまけにイベント後の打ち上げの会にこの3人が
抽選で当たってしまった。
しかし、その打ち上げはこの3人によって修羅場と化した。
その後、作家の死体が発見される。
【愛涜者】

毒島の作品のドラマ化が決まった。
しかし、毒島側はドラマ化に際し、
原作とはおよそかけ離れた内容に納得できず
抗議文を送った。
しかしドラマプロデューサーは抗議など
無視して撮影を始めようとした。
回答をよこさないテレビ側。
毒島は回答をするまで徹底的に抗議し続けた。
強硬な態度をとるプロデューサーと毒島との
間で疲弊する、ドラマ監督と脚本家・・・。
そんな中、ドラマプロデューサーの死体が
地下通路で発見される!
【原作とドラマの間には深くて暗い川がある】

今回は、出版業界のドロドロとした闇に
焦点を充てる。
出版業界の一番はしっこにいる書店員から
見ると興味深い内容で、とても面白かった。

自分を大物作家だと思っている勘違い新人作家や、
作家の作品を勝手に変えてドラマ化する
エゴの塊のようなプロデューサーなどなど
今回の登場人物たちも、エリート意識に踏み
固められ歪んだ自尊心の持ち主ばかり。
しかし、「殺人」は許されない。

毒島は皮肉と揶揄を含んだ毒舌で容疑者たちを
極限まで追いつめ、事件の真相を暴き、
犯人を特定する。

この容赦ない毒舌、「超」痛快!!

『作家刑事毒島』
著者:中山七里
出版社:幻冬舎(文庫)
価格:¥715(本体\650+税)