バチカン奇跡調査官シリーズ最新作!「秘密の花園」

藤木稟さんの人気シリーズ「バチカン奇跡調査官」
最新刊は、「秘密の花園」(角川ホラー文庫)。
アメデオ・アッカルディ、エレイン&ジュリア、平賀&ロベルト
が登場する三つの短編が収録されている。

アッカルディ大佐は息子から「父さんみたいな
りっぱなカラビニエリの軍人になりたい」と
言われ、とても幸せに感じた。
そんなアッカルディ大佐のもとへ、またしても
不可解な事件の捜査が舞い込んできた。
「ローレン」案件だと思ったが、息子のために
今回は自分一人で捜査をすることに決める。
汚職事件の真っただ中にいる、保険大臣が
殺害された。その殺人を自白したのはなんと
獄中にいる殺人鬼。自分の生霊が脱獄して
犯行に及んだと言っているらしい。
アッカルディ大佐は、ローレンの支援なしに
真相に辿り着けるのか!?
【生霊殺人事件】

ウオール街でいくつも会社経営を行うルッジェリの
第一秘書・エレインは、彼の命令で
ヨーロッパ貴族の血をひくセレブ・ジュリアの
身辺調査をすることになった。周到な準備を整え
ジュリアに面会することに成功するが・・・。
自らもセレブになるべく、人生の全てをかけて
磨き抜いた才能を身につけたエレイン。
彼女の計画は成功するのか?
【エレイン・シーモアの秘密の花園】

奇跡調査官のロベルトは、平賀の誕生日
を祝うために食事に誘った。
その帰り道、何かを探している少女に出合った。
聞けば。飼い猫が行方不明になったという。
泣き出した少女を放っておけず、二人も猫
探しに協力することに!
二人の優しい行動に心が癒される。
【迷い猫】

シリーズ中、人気のキャラクターが登場する短編集。
猟奇殺人事件に挑む、アッカルディ大佐・フィオナ
ローレン。不可能犯罪「ハウダニット」と
犯人あて「フーダニット」。謎解きの醍醐味が
味わえる、短編ながら読み応えあり。
エレインが多彩な仕掛けと駆け引きで
ターゲットに迫る物語は読んでいて「凄い」と
唸ってしまった。
二つの短編は、殺人であったり、誰かを
騙したりという人間の暗い部分が描かれているが
ロベルトと平賀の優しさが炸裂する章で心が
救われた。

『バチカン奇跡調査官 秘密の花園』
著者:藤木稟
出版社:KADOKAWA(文庫)
価格:¥792(本体¥720+税)