開署準備に追われる署員たちを襲う前代未聞の事件!?『開署準備室 巡査長・野路明良』

「女副署長」シリーズでおなじみの
松嶋智左さんの新シリーズ「巡査長・野路明良」
第一弾「開署準備室」読了。
元警察官で、初の女性白バイ隊員だった
著者の、白バイの描写がものすごくリアル!

巡査長・野路明良は、白バイ隊員のエース
で、全国白バイ安全運転競技大会で優秀な
成績を収め、Y県警本部を優勝に導いた
男だった。しかし、後輩とともに捜査中
車の事故で後輩を死なせたうえに、自分自身も
右手の指二本に障害を負い、二度と
白バイには乗れなくなった。
リハビリ後の復帰先は、吸収合併で
出来た姫野市に置かれる、姫野署の開署準備
のために臨時で作られた総務担当だった。
その異動で、野路は自棄になっていた。

四日後に開署予定の姫野署の準備は終盤を
迎えていた。
野路は、総務担当の山辺礼美らとともに
最終チェックに明け暮れている。
ところが、不審な出来事が次々と起こる
発注外の大型什器の搬入、防犯カメラの
誤作動、不審人物の目撃など・・・。
本部のお偉方を招いてのセレモニーに
暗雲が立ち込める・・・。

一方Y県にそびえる信大山のキャンプ場で
人間の白骨遺体が発見された!?
捜査本部が出来るが、身元が判明しないまま
捜査は膠着状態に陥った・・・。

開署準備に追われる野路らを放って、
ベテラン刑事だった上司の飯尾は、
白骨死体の捜査に首をつっこむ始末・・・。

だが、飯尾の行動は膠着状態だった
捜査が動き出すきっかけとなるのだ。

開署前の姫野署で続く不審な事件、
さらに白骨死体の事件が交差した時
迷宮入りしていた事件に繋がる!

しかしその事が、姫野署を大惨事に
巻き込んでゆく!

白バイが疾走し、奇跡的な運転技術を見せる
シーンは、元白バイ警官の知識と経験が
これでもかと発揮され、圧倒的な
臨場感で描かれている。

大胆不敵、空前絶後の展開で読者を
翻弄する、稀にみる面白さで迫る警察小説!

『開署準備室 巡査長・野路明良』
著者:松嶋智佐
出版社:祥伝社(文庫)
価格:¥770(本体¥700+税)