反転の妙!「鬼の話を聞かせてください」

木江恭さんの「鬼の話を聞かせてください」
(双葉社)読了。

初読みの作家さんで、ホラーっぽいタイトル
に惹かれ読み始めると、まったく違う
世界に誘われた。
あまりにも面白い!読んでる途中でも
もう面白すぎてワクワクが止まらなかった!

フリーライターの霧島は、SNS上で
「現代の都市伝説」特集を組むため、
「鬼の話を」を募集した。
意外にも多く集まった鬼の体験記。
その中の3件を取材することに。
霧島の代理で体験者に取材を行ったのは、
カメラマンの桧山という男だった・・・。

ある女性は、子どもの頃に母に連れられて
初めて祖父の家を訪ねるが、母と折り合いが
悪かった祖父は、翌日納戸で首を吊って
死んでいるところを発見される。
女性はたまたま夜の庭で祖父の部屋に映る
人影を見てしまっていた・・・。
【影踏み鬼】

カラースプレーで町中に奇妙な落書きをしていた
「色鬼」。その後、発見された少女の遺体は、
全身スプレーまみれだった。その第一発見者は
警察官だった・・・・。
【色鬼】

老人が語る六十年前の不思議な事件。
嫉妬に狂った女が、男とその恋人を斬り殺し
家に火を放つという事件があった。
後に「鬼女」と呼ばれた犯人はその老人の
妹だった・・・。
【手つなぎ鬼】

サラリーマン時代の霧島が遭遇した事件。
編集長に取材を命じられたのは、ある転落事故。
霧島はありふれた転落事故と思っていたが、
遺体のそばには少年の写真を入れたアルバムが
落ちていた。被害者にこどもはいないはず・・・。
【ことろことろ】

鬼に関わる霊的なホラーテイストの
物語かと思ったが、まさかの展開!
取材者・桧山は、投稿者が話す不思議な物語を
「ロジカルに、机上の空論、推理ゲーム」と
断って推理を展開する。
その息をのむほど鮮やかな謎解き!
それまで語られた話は何だったのか?
絶妙な「反転」に、事件の真相が暴かれる!

第一話から強烈なパンチを喰らったような感じ。
面白過ぎるミステリー。
やられました!!!

『鬼の話を聞かせてください』
著者:木江恭
出版社:双葉社
価格:¥1,760 (本体¥1,600円+税)