東野圭吾のガリレオシリーズ最新刊『ガリレオ8 禁断の魔術』を読みました。
このシリーズの既刊本では、長編の『容疑者Xの献身』があまりにも名作です。(私だけが思ってるかも。)
この最新刊である短編集『ガリレオ8 禁断の魔術』も『容疑者X』に匹敵するくらい感動しました。特に最後の『猛射つ』は、湯川博士が、理系の気難しく偏屈で超優秀な科学者としてではなく、温かく、思いやりがあり、そしてスペシャリストとしての矜持をもった、一人の人間として描かれていて、胸が熱くなる傑作です。
第1話『視透す』では、草薙刑事に誘われて行ったクラブで、名刺を見ずに名前を当てるという特技を持ったホステスに出会う。
しかしその後そのホステスは殺害されてしまう・・・・。なぜそんなことに?湯川と草薙は彼女の特技が殺害の動機ではないかと推理。
第2話『曲球る』は、戦力外通告をされたプロ野球の投手。その投手の妻が事故に遭い亡くなってしまう。事故現場にはプレゼント包装された時計があった。妻は誰にその時計を贈るつもりだったのか?生前の妻の不審な行動とは・・・?湯川が解いた、妻の想い・・・。
この作品もぐっときました。湯川博士の優しさがあふれている作品。
第3話『念波る』は、双子の姉の危険を察知した妹。その予感はあたっていた。姉が何者かに襲われたのだ!?。双子の間にテレパシーは存在するのか?湯川が、双子の姉妹のためにひと肌脱ぎます。
第4話『猛射つ』は、フリーライターが殺害された事件から、ある殺害計画が浮かび上がってくる。そしてその容疑者の中に、湯川がどうしても助けなければならない人物がいた。湯川の決心があまりにも切なくて、悲しくそして胸に迫る!!
今回の短編集は、今までのような怪事件を科学で解決するというものよりもっと奥が深くなっている。それは湯川の事件への関わり方が変わったからか?人間への関わり方が変わったのか?湯川博士の心の進化も感じられる!シリーズ最新作です。
『禁断の魔術 ガリレオ8』
著者: 東野圭吾
出版社:文藝春秋
価格:¥1,400(税別)