「逆転美人」に続き、またまたやられた!「逆転泥棒」

藤崎翔さんの「逆転泥棒」(双葉社)読了。

「逆転美人」はミステリー史上初の
トリックが凄すぎて言葉も出なかった・・・。
「逆転泥棒」は、「逆転美人」とは全く違う。
「騙された感」が半端ない凄いミステリー。

善人と書いて「ヨシト」。
その名前とは程遠い、小さな空き巣を
繰り返していたがお縄になり刑務所生活。
二回目のおつとめを経て出所早々、
世話になっている先輩空き巣のスーさんを頼る。
そのスーさんからうまい話を聞かされる。
罪の意識はどこへやら、スーさんの
話に乗りヨシトはある豪邸へ忍び込む。

金目の物を盗み、部屋を出ようとした時、
飾ってあった一つの写真に眼が行った。
そこには初恋の相手、マリアが写っていた。

なんと、自分は高校時代に恋をした
女性の家に忍び込んだのか!?

気になったヨシトは、その後もう一度
彼女の家に行ってみようと思い、あたり
をぶらついていると、そこでばったりと
マリアに出会う。
偶然と言い訳しながら再会を喜んだ。

マリアもとても嬉しそうで、その後
何かと連絡をとるようになり、二人の
距離は急速に近づくが・・・。
マリアから驚きの依頼が!「夫を殺してほしい」と・・・・。

ヨシトがマリアに再会し、マリアの
辛い状況に心を痛める現在と、
切なくも懐かしい彼らの青春時代の
エピソードが交互に描かれる・・・。

芸人出身の著者は、ミステリー小説を
描きながら、ユーモアの味付け加減
が絶妙で、凄く良いタイミングでクスッと
笑わせてくれる。
この作品はさらに青春時代の友情、淡い
恋と切なくなるテイストも加味。
どれだけ引き出しが多いのか!?本当に感嘆する。

究極は、神がかり的な「騙しのテクニック」だ。
「えッ?今までの話は何だったの?」と
ページを逆に捲ってゆくはめになる。

本当に面白かった。脱帽です。

「逆転泥棒」
著者:藤崎翔
出版社:双葉社(文庫)
価格:¥836(¥760+税)