横山秀夫さんが描く、女性似顔絵捜査官の活躍!『顔』

横山さんの作品の中で唯一女性を主人公にした作品です。『顔』。
2003年ころ、仲間由紀恵主演で連続ドラマ化されたこともあります。
短編集で読みやすく、面白いです。
『陰の季節』の短編集の中の1作、『黒い線』で事件を起こす側として登場する、似顔絵捜査官・平野瑞穂巡査。そのショックで休職をしていたが、現在広報室に身を置く。
時々前の事件を思い出し胸を痛めることもあるが、何とか婦警としての仕事をこなしている。
第1話『魔女狩り』は、ある特定の新聞社にのみ特ダネを流している人物を探す。
第2話『決別の春』は、広報室から犯罪被害者支援対策室へ配置転換された平野巡査が、連続放火が続く中それに怯える女性からの電話相談を受ける。
第3話『疑惑のデッサン』は、ある切り裂き事件の目撃者の証言から似顔絵を描いた、三浦巡査のデッサンが、あまりにも犯人に似ていたことから何かあるのではと疑惑を抱く。
第4話『共犯者』は、実際の銀行で本番さながらの銀行強盗対策の訓練中に、別の銀行で本当の銀行強盗が起こってしまう!
第5話『心の銃口』は、射撃の名手である婦警が襲われ、拳銃が奪われた!平野巡査は、襲った犯人の似顔絵を描くことに・・・!
警察組織の厳しさをこれでもかと思い知らされる平野巡査。
時に負けそうになる心を強くさせるのは、犯罪被害者に対する思いと憎き犯人。
絶対に犯人を許さない。その思いが瑞穂の心を強くする。
瑞穂の職務に対するひたむきな思いが胸に迫る・・・。
そんな平野瑞穂巡査の成長を描いている。
横山さんが珍しく女性捜査官にスポットを当てた警察小説、連作短編集です。
『顔 FACE』
著者: 横山秀夫
出版社:徳間書店
価格:¥590(税別)