デンマーク発!迷宮入り事件を解決!?『特捜部Q』シリーズ

最近海外のミステリーに今一つ食指が動かず、日本のミステリーばかり読んでいましたが、同僚に勧められて読んだこの『特捜部Q 檻の中の女』(ユッシ・エーズラ・オールスン・早川書房)が大当たりでした。
海外ミステリーで久々に面白~いと感じた、全欧ベストセラーとなった警察小説です。

コペンハーゲン警察の殺人捜査課で辣腕を奮っていた、カール・マーク警部補は、ある事件で自分のチームと自分自身が銃撃にあい、休職していた。
部下を失い、自身も深刻な‘心的外傷後ストレス障害’に悩まされていたカール・マーク警部補だったが、何とか復職するまでにこぎつけた。
そして、上司から呼び出され告げられたカールのポストは、この度新設された未解決の重大事件を専門に扱う部署「特捜部Q」の統率だった。
しかし、あてがわれた部屋は暗く陰湿な地下室。そして部下は、デンマーク語すら怪しいシリア系の変人・アサドのみ。
上層部への不審を募らせるカールだが、仕事ですぐに結果を出さなければならない。
そしてカールは、自殺と片づけられていた、美貌の女性議員失踪事件の再捜査に着手する。
アサドの変人ぶりと奇行にも助けられ、驚きの新事実が次々と明るみに出る!!

海外の警察小説も、上の顔色ばかりうかがう上司が登場したり、あまりにも優秀だと出る杭を打たれたりと日本とあまり変わらない組織構造なので、日本の警察小説を読みなれている人には特に読みやすい。
それと、失踪した女性議員が拉致され監禁が続くシーンと、カール警部補がその事件に着手し再捜査を始める時期が交互に登場し、やがて現在に繋がってゆく、という面白い設定。
女性議員がなぜ拉致監禁されるに至ったのか・・・・?事件の真相に近づいてゆく過程が面白いし、登場人物もかなり細かく描かれていて、重厚な警察小説といったところ。
カールとアサドの掛け合いが、時にコミカルに描かれているので深刻な小説の中でほっとする瞬間もある。

未解決事件ものは日本でも、富樫倫太郎さんの『SRO 広域捜査特別専任調査室』シリーズ(中公文庫)が人気。海外も日本もそういう事件解決ものがだんだんと人気が出ている様子。
この『特捜部Q』も大変な人気で、シリーズ3作発売中です。
本作『特捜部Q 檻の中の女』は文庫も発売中ですが、ミステリーファンならば、やはり早川書房のポケットミステリーで紹介したかったので、今回はポケミスで紹介しました。

『特捜部Q 檻の中の女』
著者: ユッシ・エーズラ・オールスン
出版社早川書房
価格:¥1,900(税別)ポケットミステリー版
価格:¥1,000(税別)ハヤカワ文庫版