労働基準監督署を舞台に描く!異色のお仕事エンターティメント

‘働く人を守るために必死で働く人間がいる’帯にあるこの謳い文句に惚れて読み出しました。
沢村凛氏著『ディーセント・ワーク・ガーディアン』(双葉社)
舞台はなんと!‘労働基準監督署’。あまり表に出たことのないお役所なので、興味津々で読みました。
働く現場で日々起こる大小の様々な事件を、時には感動的に、時にはミステリータッチで描いていてとても面白い短編集です。労働基準監督官という仕事についても詳しく、わかりやすく描かれています。(社会勉強にもなる!)
主人公の労働基準監督官・三村は「人は生きるために働いている。だから、仕事で死んではいけないんだ」と友人である刑事や部下に言い続けている。(熱血!!)
〈普通に働いて、普通に暮らせる〉社会をめざして日々奮闘中。行政官としてだけでなく、時には特別司法警察員として、友人の刑事とともに《謎解き》にも挑む。

特にミステリー色が強い作品は、第5話の『フェールセーフの穴』。
無人化工場内で起こった殺人事件。現場に調査に向かった三村と友人刑事は、そこが完全なる密室であることに気がつく。
刑事には犯人のめぼしはついていたが、密室の謎を解かないと犯人逮捕に繋がらない。そこで労働基準監督官である三村は、工場内で導入されているロボットの操作に目をつける・・・。

地味なお仕事小説だと思って読むととんでもない!新鮮な驚きに満ちている、異色のお仕事エンターティメント作品です。

『ディーセント・ワーク・ガーディアン』
著者: 沢村凛
出版社:双葉社
価格:¥1,700(税別)