巨悪に立ち向かう男の復讐劇を描く!「銀行仕置き人」

半澤直樹風、銀行内の「やられたらやりかえす」ストーリーにちょっとミステリーの
味付けをした、痛快無比の復讐譚。
銀行仕置き人

関東シティ銀行の営業でエリートコースを突っ走っていた、黒部一石。
しかし、500億円もの巨額融資の焦げ付きの責任を一身に背負わされ、
人事部付となり、通称‘座敷牢’で名簿整理をさせれることになる。
やがて、黒部は同期の友人から500億円焦げ付き事件のからくりらしき
話を聞かされ、自分を罠にはめた一派の存在と、陰謀に気が付く。
激しい怒りを胸に秘め、黒部は銀行内に巣食う不正を暴くことを
決意する。
そんな彼を人事部の上司・英悦夫がバックアップする。
不正を暴くために、彼に調査の名目を与えたのだ・・・・。
英は、黒部に言った。「銀行を腐らせるな」
その一言で、黒部は決してあとには引かない覚悟を決める・・・。

半澤直樹ほどのドラマチックさはないが、
銀行内部で行われている不正の数々が描き出されている。
現実では、先日来、メガバンクが反社会的勢力に融資をした事実が
取上げられ非常に問題視されているが、この作品ではすでに
そういうことも物語の中で取り上げている。
さらにこの物語は、詐欺事件から殺人事件に発展していく過程が
ミステリー仕立てにもなっており、スリリングな展開がミステリーファンには
たまらない。
「半澤直樹」で池井戸作品にはまった方々にぜひこの作品も
読んでもらいたいです!

『銀行仕置人』
著者:池井戸潤
出版社:双葉社
価格:¥638(税別)