極上の警察小説アンソロジー集『警官の貌』

警察小説アンソロジー集『警官の貌』(双葉社)です。
今野敏さん、誉田哲也さん、福田和代さん、貫井徳郎さん
今をときめく、作家さんたち4人の警察小説の短編を集めたもの。
ワクワクしながら読みました。
どれから読んでもほんとに面白いです!

警官の貌

今野敏さんの『常習犯』
警視庁捜査三課の萩尾秀一は、窃盗事件専門のベテラン刑事。
職人技を駆使し、盗みを働く犯罪者と渡りあってきた。
萩尾は窃盗の現場を見ただけで、だれが盗みを働いたのか、だいたい
見当がつく。その特技で一目置かれている。萩尾の弟子となりつつある、
武田秋穂刑事とコンビを組んで事件に挑む。萩尾と窃盗の常習犯である
老人との交流がじんわりと胸に沁みる。

誉田哲也さんの『三十九番』
暗くて黒い警察小説です。警察官にも
深い闇がある・・・。
ある一人の留置所係官の物語。彼の闇とはいったい何か!?

福田和代さん『シザーズ』
警視庁通訳捜査官・城正臣と保安課上月。二人は立場は違うが、
事件の内容で一緒に捜査することが多い。城は妻に逃げられ、
一人娘を育てながら通訳捜査官に徹している。ほんとは優秀な
刑事だが・・・・。
城があまりにも破天荒なので、上月は振り回されることもしばしば。
女性の自殺事件から端を発した犯罪を暴く!!

貫井徳郎さん『見ざる、書かざる、言わざる ハーシュソサエティ』
人気デザイナーが何者かに襲われた。命はとりとめたものの
残虐極まりないやり方で生きる希望さえ失ってしまう姿にされていた。
所轄刑事の吉川は、非道な犯人への怒りを心に秘め、事件を追うのだ。
日本の死刑制度に疑問を呈する。この作品を読んで自分ならどう思うか
複雑な気持ちになった。

警察小説をあらゆる角度から描いている。短編でありながら、
それぞれの作品はとても深い。警察小説の面白さを存分に
味わえる珠玉の作品集。

『警官の貌』
著者:今野敏/誉田哲也/福田和代/貫井徳郎
出版社:双葉社(文庫
価格:¥629(税別)