ダークなミステリー第2弾!「クリーピー」

タイトルと不気味な表紙に惹かれ買ってしまいました。
前川裕「クリーピー」(光文社文庫)。
第15回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作です。
「クリーピー」とは日本語では‘気味が悪い’という意味。
確かに、読んでいると次第に気味の悪い方へ向かいます。
以前に流行った『嫌ミス』という表現では括れない
ざわざわとした不気味な感じがするミステリーです。

クリーピー

大学で犯罪心理学を教える、高倉は妻と二人暮らし。
懇意にしている隣人もあり、平凡に暮らしていた。
そんなとき、学生時代の同級生で刑事の野上から、
一家失踪事件の分析を依頼される。
高倉が調査を始めたころから、周囲で事件が頻発
するようになる。
野上の失踪、学生同士のトラブル、高倉の向かいの家の火事
さらに焼死体の謎!
それらの事件は、ただの発端にすぎなかった!

隣家から突如逃げ出した女子高校生。
高倉の妻はその娘を匿うが、隣家の主人が娘を返せと執拗に
迫ってきた。だが、父親ではないと言う。
さらには身体に虐待らしき痕跡もある・・・。

温和そうな笑顔の裏に隠されたケモノの顔。
それは、実際に起きた監禁変死事件を彷彿とさせる!
隣の家で何が行われているのか?
想像するだけで恐ろしい!
野上が依頼した、一家失踪事件と不気味な隣人とは
なんらかのつながりがあるのではないか・・・。

一連の事件は徐々に不可解な方向へと広がっていく。

高倉はパンドラの箱を開けてしまったのか!?
読後も気持ち悪さが残る、ダークミステリー。

『クリーピー』
著者:前川裕
出版社:光文社(文庫)
価格:¥680(税別)