海外ミステリーの醍醐味!ヘレン・マクロイ「悪意の夜」

久しぶりに海外ミステリーを読みました。
ヘレン・マクロイ「悪意の夜」(東京創元社)です。
名探偵ウィリング博士シリーズ、最後の未訳長編。

夫を転落事故で亡くし、失意のどん底にあったアリス。
やっと落ち着き、遺品の整理を始めた。
夫のプライベートの机を整理したとき、引き出しから
「ミス・ラッシュ」という女性の名前が書かれた封筒が
出てきた。アリスの全く知らない名前だ・・・。
心がざわつくアリス。
そこへ、息子が美しい女性を伴い帰宅した。
息子は、はにかみながら彼女を紹介した・・・。
その名前は「ラッシュ」。

アリスは衝撃を受ける。彼女は何者なのか?
息子に近づく目的は何か?夫とはどういう関係なのか?

次々と押し寄せてくる、不安と疑惑。
息子を案ずるあまり、アリスの行動は常軌を逸してゆく!

そんな緊張と疑惑が頂点に達した時、ついに殺人が
起こる!!!

社会的に成功をおさめた愛する夫、
そして聡明な息子に囲まれ、何不自由なく生きてきた女性。
しかし、夫の転落事故と言う不幸に見舞われ、
さらに夫の不可解な遺品の影響で、心が疲弊してゆく過程の
心理描写が真に迫っている。

一級のサスペンス、また、名探偵による謎解きの醍醐味も
味わえる!海外ミステリーの傑作品です!

『悪意の夜』
著者:ヘレン・マクロイ/駒月雅子(訳)
出版社:東京創元社(文庫)
価格:¥940(税別)