驚嘆!「密室」のトリックを暴く『密室蒐集家』

「アリバイ崩し承ります」で大山誠一郎さんの
作品にすっかりはまってしまい、「赤い博物館」と
その次に「密室蒐集家」を読みました。

凄い!「密室」トリックのオンパレード。
これを考え出した著者も凄い!

女学生がカーテンの隙間から音楽教師が射殺
されるのをを目撃する!
鍵のかかった教室から犯人はいかにして消え失せたのか?
「柳の園 1935年」

警察監視下の家で発見された高校生男女二人の死体。
他殺なのか?であれば、犯人はいかにして侵入し、
逃亡したのか?
「少年と少女の密室 1953年」

男女二人が目撃した落下する女性。
実は密室から落ちた死体だった!
「死者はなぜ落ちる 1965年」

密室に横たわっていた死体の胃に「鍵」が…?
「理由ありの密室 1985年」

病院で、女医が殺害された!嫌疑をかけられたのは、
自殺未遂し、その病院に入院していた女性。
しかし彼女は眠り続けていた。
「佳也子の屋根に雪ふりつむ 2001年」

警察の間では伝説となっている「密室蒐集家」。
解明困難な密室の事件が起こると、どこからともなく
現れて、密室のトリックを鮮やかに解いて煙にように
消える・・・・。
「密室蒐集家」という人物設定にまず度肝を抜かれる。

しかも「密室」という本格推理ファンには垂涎の
テーマ。どの作品のトリックも凡人にはおよそ
想像だに出来ない!

斬新なトリック、予想をはるかに超える犯人像。
それを「密室蒐集家」が論理的に分かりやすく
説いてゆく。
その解明の過程が非常に面白過ぎる!!

様々に仕掛けられた「密室」トリックを
これほど堪能できる作品はないかもしれない。

『密室蒐集家』
著者:大山誠一郎
出版社:文藝春秋(文庫)
価格:¥660(税別)