7つのどんでん返しミステリー「七色の毒」

最近はまっている中山七里さんの
「七色の毒 刑事犬飼隼人」を読みました。
短編なので、読みやすかったしとても面白かった!

「どんでん返しの帝王」の異名をとる中山さんらしい
ひねりの効いた衝撃が7回も味わえます!

精鋭

刑事らしくない風貌で、男前の犬飼隼人。
女性の嘘を見抜くのは大の苦手のため、女性には騙されやすい。
しかし、男性の嘘は百発百中で見抜く!凄い特技を持つ。

そんな犬飼刑事が遭遇した7つの事件は興味深い!

岐阜から新宿に向かう中央自動車道で起こったバス激突事故。
男性乗客1名が亡くなり、8人の重軽傷者を出す大惨事となった。
運転手は逮捕された。
管轄外でありながら、警視庁捜査一課の犬飼刑事は事故に不信を抱く。
亡くなった男性は毎週末新宿便を利用。いつも同じ席をに座っていた。
バス事故の裏に隠された謎に迫る!「赤い水」

イジメを苦に、学校の屋上から飛び降り自殺した男子中学生。
その親友がイジメの事実を告発。
学校側は、保身のためイジメは無かったと発表。
しかしマスコミに追及され、学校側はイジメを認めた・・・。
イジメに関わった少年たちは裁かれ、事件は終息したかに見えたが・・・。
本当に、男子中学生を自殺に追いやったの何・・・?
犬飼刑事が暴く黒い真実!「黒いハト」

釣り具屋を営む、中年店主。
親子ほど年の違う女性と結婚が決まった!
一人さみしく過ごす日々を明るく晴れやかにしたのは、
その女性とその兄だった。
あるとき店主は、二人を釣りに誘う。
楽しく過ごしたはずだったが!?
二人の正体とは!?
犬飼刑事が辿りついた悲劇!「青い魚」

下校途中で、男子中学生が中毒死した!
亡くなった少年は、ホームレスを害虫と呼び、
襲っていた少年だった。
凶悪な顔を持つこの少年。恨みを持ったのは
ホームレスかそれとも・・・?「緑園の主」

もしかして僕は性同一性障害・・・・?
小学生の翔の秘かな楽しみは、家の中でだけ
女の子・ミチルに変身する時だった。
しかし、存在しないはずのミチル宛てに教材の
DMが送られてきたことから、翔の日常は一変する。
ミチルとはだれなのか・・・?
翔のために犬飼刑事は真相を暴く「黄色いリボン」

「紫の供花」は第1話の「赤い水」の後日談。
バス事故に巻き込まれたある女性の事件を描く。

そして、はまさきが一番唸ったのは、「白い原稿」
大物ロックシンガーが真夏の夜、凍死体で発見された。
彼は大手出版社の小説コンクールで大賞をとり作家としてデビュー。
だがベストセラーになった本は内容が稚拙で、その賞は出来レース
だったのでは?と騒がれていた・・・。
真夏でありながら凍死!?それは事故か?殺人か?
小説コンクールのくだりはつい先年、出版業界でも話題になった事だ。
読んでいたら、ああの話!ってすぐにわかる。
ここまでリアルに描いちゃっていいの!?
驚くとともに、少し心配してしまう・・。

少年の凶悪犯罪を取り扱った「贖罪の奏鳴曲」
冤罪に真正面から取り組んだ「テミスの剣」など
中山さんの作品も多くが、実際に起きた事件をテーマに
あらゆる角度から斬りこんだミステリーが多い。

今回の「七色の毒」も高速道路でのバス激突事件、
イジメをひた隠す学校、詐欺事件、少年犯罪、
性同一性障害、など実際に起こった事件をヒントに描かれている。

人間の心の闇や悪意がじわじわと社会を蝕む。そしてそんな事件に
ひねりの効いたミステリーが味付けされ、物語の面白さが一段とアップ!

短編でありながら、ミステリーの面白さを十分堪能できるミステリ短編集。

『七色の毒 刑事犬飼隼人』
著者:中山七里
出版社:KADOKAWA(角川文庫)
価格:¥560(税別)