警察小説の新境地!「精鋭」

朝日新聞に連載されていた、今野敏さんの
「精鋭」が発売されました。

今野先生が初めて特殊部隊「SAT」を描いた作品。

今野新刊

警察学校を卒業し、交番勤務に励む若き巡査、柿田亮。
市民の安全を守るため、日々奮闘中だ。
だが、時々柿田は疑問に思うことがある。
市民から投げかけられる苦情や、相談の類。
非番の日、たまたま痴漢を発見。
管轄署に連絡したら、すぐに事件になる。
まだ本当に迷惑行為をしたのかどうか調べもせず・・・。
自分にせいでこの男性の人生は狂ってしまうのではないか・・・?
自分の仕事は、警察官としての仕事なのか?
警察官はどこまで関わればいいのか?
自分が警察官に向いているのか?悩みながらも
上司の勧めで「機動隊」を希望する。

やがて「機動隊」の厳しい訓練もクリアし、
柿田は特殊急襲部隊「SAT」へ入隊することになる。

‘失敗は許されない。敗北も許されない。
SATが最後の砦だ! ’

自衛隊と一緒に訓練することで生まれた新たな疑問。
だがそこで気づいたことは・・・。

「俺たちは軍隊じゃない。あくまでも警察官だ。闘うという意味が違う。
軍隊のように、相手を打ち殺すという意味じゃない。
テロリストを制圧して検挙するために戦うんだ。
制圧して検挙するために戦う――」
この言葉が胸に沁みる!!

主人公・柿田亮の素直で真面目で率直な性格が、上司、先輩、仲間を
動かしてゆく・・・。やがて自分の行く道をまっすぐに進む決意をする。

ミステリーチックな展開はない。
これは一人の巡査の成長と苦悩、上司や仲間との強い絆を描き、
さらには、‘警察組織’の有り様を描いた、ある意味、本当の警察小説ともいえる。

柿田亮が厳しい訓練に耐えつつ、上司や先輩、仲間たちとのやりとりの中で
警察官として成長してゆく過程が面白く!そしてまぶしい。
今までにない、新たな警察小説の誕生!

読み終わった後の清々しさは半端ない!

『精鋭』
著者:今野敏
出版社:朝日新聞出版
価格:¥1,600(税別)