胸に迫る展開!シリーズ第3弾「機龍警察 暗黒市場」

先日、月村さんの新刊「槐 エンジュ」を読んで
また「機龍警察」シリーズが読みたくなり、
未読だった、「機龍警察」シリーズ第3弾
「暗黒市場」を読みました。

「暗黒市場」のメインは、元ロシアの警察官
ユーリ・オズノフ警部。
機龍・バーゲストの搭乗員。

暗黒市場

ユーリ・オズノフ警部は、特捜部から
搭乗員としての契約を解除された。
特捜部内では衝撃が奔る!
同じ頃、栃木県のある山村の駐在所に
半死半生の男が倒れ込んできた!
無残にも常軌を逸した暴行の跡が見える。
しかし、助けようとした駐在所ごと、キモノの
鋼鉄の腕に固定された重機関銃で吹き飛ばされた。
身元不明の遺体は、警視庁組織犯罪対策部第5課の
安藤捜査員と判明した。
彼が命と引き換えに手にした情報は、機龍兵(ドラグーン)
に関する機密情報だった・・・・。

安藤捜査員の情報から、新型機甲兵装(機龍兵ドラグーン)が
市場に流出しているのではないかと疑念を抱いた特捜本部・沖津特捜部長は、
警視庁組織犯罪対策部第5課・渡会警視とともにブラックマーケット
壊滅作戦に着手する・・・。

かたやユーリ・オズノフ元警部は、昔なじみのゾロトフとともに居た。
ゾロトフは、ロシアの無頼漢としてもっとも畏怖される存在
‘ヴォル’だった。
ユーリはゾロトフと手を組んで武器密売に手を染めていた。

今回は、ユーリ・オズノフとゾロトフとの関係、
そしてユーリの過去、ロシア警察に裏切られ
傷心のユーリの姿が描かれている。
心を許した仲間に裏切られ、さらに恋人にも裏切られ、
信じる者を失くしたユーリ。
ロシアを逃亡し、二度と警察官にはならないと決めたユーリに、
沖津は新たな警察官としての任務を与えた。
それは、想像を絶する契約。
「機龍搭乗員」。しかし警察官としてのプライドを
捨てきれないユーリはこの契約にかける・・・・。
そして知った驚愕の真実・・自分を裏切った仲間たちは
皆、ロシア警察でトップの座についていた。

結局、自分は嵌められたのか・・・・
なぜ自分は裏切られたのか?
なぜ捨てられたのか?
ロシア時代に自分自身が巻き込まれ、警察を追われた事件について常に渦巻く疑問。

警察の隠れた汚職を決して許さなかった誇り高き警察官だったユーリの父。
ユーリは父のような警察官になりたかっただけなのに・・・。
理想に燃え警察官になった、ユーリの心に奥にある深い疵、挫折と苦悩が心に迫る!

クライマックス!ユーリが挑む新たな自分との闘い、
そして凄まじい機龍兵との闘いが、読み手の心を震わす!
極限まで自分を追い込み、命をかけたユーリに感動!!

圧倒的な臨場感で迫る!至近未来警察小説!

『機龍警察 暗黒市場』
著者:月村了衛
出版社:早川書房
価格:¥1,900(税別)