鮮烈!!本格ミステリー「星読島に星は流れた」

4月19日(日)今井書店グループセンター店で
島根県出身のミステリー作家、久住四季さんの
「星読島に星は流れた」(東京創元社・ミステリフロンティア)の
サイン会があり行ってきました。
久住さんは、電撃文庫「トリックスターズ」でデビュー。
「トリックスターズ」シリーズ、「ミステリクロノ」シリーズ、
「鷲見ヶ原うぐいすの論証」など、ライトノベル界では
正統派のミステリーを描いて注目されています。
この作品が著者初の単行本とのこと。
はまさきもサインして頂きました!(嬉しい!)

タイトルの素敵なこの作品、本格ミステリ好きにはたまらない設定!
そして、「満願」でこのミス1位を獲得された、
米澤穂信さんも絶賛されています!

星読島

アメリカ・マサチューセッツ、レイラタウンで、
家庭訪問医として働く加藤盤は、
天文学者サラ・ディライト・ローウェル博士が
主催する天文観測の集いに招待された。
その集いは、ネット上の天文フォーラムで参加者を
募集し、ローウェル博士がランダムに選び招待される。
そのため、毎年顔ぶれが変わるのだ。
加藤はそれほど天文に興味は無かったが、申し込んだところ
異常に高い倍率をくぐりぬけ、招待客となった。
その天文観測の集いは、ローウェル博士の孤島で開かれていた。
加藤のほかに招待客は、NASAに勤務する女性・エリス。
何度か招待されたらしい。スミソニアン博物館の代表として
招待されたアレク。陽気なニートのデイヴ、メテオライトハンターの
マッカーシー、少し陰気な女性・サレナ、コンピュータサイエンスの
天才少女・美宙(みそら)の6人だった。
孤島にある、天体観測所へと向かうとき、加藤はこの集いの
真の目的を知る。この孤島にはある秘密があったのだ!
招待客たちの間で静かに緊張が奔る中、滞在3日目に
一人の招待客が死体となって発見される・・・。
犯人はこの6人の中にいるのか・・・?
次第に疑心暗鬼に陥る招待客たち。
そこで、加藤は事件の経緯を推理することに・・・・。

美しい夜空に輝く星々が鑑賞できる孤島。
そこに集められた、星好きの人たち、
やがて起こる謎の殺人事件。それを推理する主人公・・・。
本格ミステリの要素満載の、ミステリ好きにはたまらない作品。

導入部分の事件を予感させる思わせぶりな描き方は、読者の心を
がっちりと掴み、物語の中にぐいぐい引き込んでいく。
また、明るく振る舞う加藤の翳りや、謎めいた美貌のローウェル博士。
加藤に絡む、天才少女・美宙のはかなさなど、登場人物の心理描写が秀逸!
謎解きだけでは終わらない奥の深さを感じる。
そしていつの間にか主人公・加藤の魅力に惹かれている・・・。

事件の謎を解いてゆく過程は、読者自身も加藤の
「なぜ」にシンクロする。
だが二転三転して辿りついた真相には衝撃がはしる!!

事件はつらいけれど、謎解きが為された後の
スッキリ感と登場人物たちが明るく前に
一歩ふみ出して行くラストには感動する。
著者のやさしさにあふれた作品で、
ミステリ小説を好きで良かったなあと思いました。
著者のあとがきに「宇宙に思いを巡らせるのが好き」
とありました。だから優しさを感じるんだな~
気持ちが前向きになれないとき、自分の好きな事を
してみるとも書いてありました。
私もちょっと落ち込んでいたことがあったけれど
この作品を読んで元気をもらったような気がします!

久住先生、サインをありがとうございました。
この後も素敵なミステリー作品を描いてください!

『星読島に星は流れた』
著者:久住四季
出版社:東京創元社
価格:¥1,600(税別)