宮部みゆき初期の傑作!

宮部みゆきと言えば「火車」が代表作ですが、「火車」以前の作品で、ものすごく面白い作品が結構あります。「魔術はささやく」はその一つ。第2回日本推理サスペンス大賞を受賞した、サスペンス小説の傑作です。

物語の始まりは、社会面のありふれた死亡記事。一人めはマンションの屋上から飛び降り、二人めは地下鉄に飛び込んだ。そして三人めはタクシーの前に。三人の事件は全く関係性がないように見えるが、実は巧妙に仕組まれたものだった。逮捕されたタクシー運転手の甥・守が知らず知らず事件の真相に迫っていた・・・。

宮部さんの小説の面白さは物語の展開のもっていきかただと思います。この作品も、3つの事件を通してどのように繋がってくるのか?事件の原因は何なのか?説明ではなく登場人物たちの動きを通して次第に明らかにされていきます。その過程が面白く描いてあり、読み出したら絶対に止まりません。時間を忘れて読んでしまいました。

ミステリアスでドラマティックな展開。ミステリ小説が苦手な人も読めると思う。

『魔術はささやく』
著者:宮部みゆき
出版社:新潮社
価格:¥670(税別)