宮部みゆき、初期の傑作!「龍は眠る」

宮部みゆきさんの初期の傑作と言えば、
代表作「火車」。大好きな作品でめちゃめちゃ面白い!
そして、「魔術はささやく」と本書「龍は眠る」です。
この作品は超能力を持つ少年が登場。
人間に超能力ってあるわけない!と思ってしまうが、
読んでいると、もしかしたら、このような能力を
持った人は実在し、陰ながら苦しんでいるかも
しれないと思わせる。そんな作品です。

龍は眠る

雑誌記者の高坂昭吾は、嵐の夜、車で東京に向かう道中、
道端で自転車がパンクし、立ち往生していた少年をピックアップした。
稲村慎司というその少年は、何となく不思議なところがあった。
そして、突然、「僕は超常能力者なんだ」と言った。
慎司は、他人の頭の中を読み取る能力を持っていた。
その言葉を証明するかのように、二人が走行中に遭遇した
死亡事故の真相を語り始めた。
それは、全ての始まりだったのだ。

全てを見通すことが出来る驚くべき超能力。
そんな力を持ってしまった少年。
人の頭の中が読めるということは、とてもつらい。
誰とも関わりたくないという孤独に陥る
そんな彼の苦悩。読んでいると彼の叫びが聞こえてきそうで切ない・・・。

事件の行方は息もつかせぬ展開・・・。
だが、事件の合間に挟まれる暖かい人の気持ちに救われる。

宮部みゆきが描く、サイキックミステリーの傑作です。
第45回日本推理作家協会賞受賞作!

ご堪能あれ!

『龍は眠る』
著者:宮部みゆき
出版社:新潮社(文庫)
価格:¥890(税別)