鮎川哲也の傑作!「黒い白鳥 鬼貫警部事件簿」

憎悪の化石」が面白かったので、続けて日本探偵作家クラブ賞受賞作
「黒い白鳥」を読みました!

昭和が舞台の推理小説は、レトロな雰囲気を醸し出していて好きになりました。

黒い白鳥

線路上で、銃殺と思われる男性の屍体が発見された!
身許は、東和紡績の社長・西ノ幡豪輔。
その頃、西ノ幡社長は、ワンマンな社長ぶりが行きすぎて、
労働組合と対立。さらに、新興宗教に入信していたが、
その幹部とトラブルとなり、西ノ幡社長ほか、東和紡績の
社員を脱退させようとし、揉めていたのだ。
警察側は、犯人は労組のリーダーもしくは新興宗教の幹部と判断。
捜査を開始した。
彼らの事件当日の足取りを執拗に追ったが、完璧なアリバイが
あり、捜査は難航!
さらに西ノ幡が銃殺されたであろう時間に、本人が中華料理を
食べていたとの目撃者まで現れ、殺害時間も違うのではという
可能性まで出てきた。
だが、西ノ幡は線路に落ちる前に、ある電車の上に落ちている。
その列車に血痕が残っているのだ。その列車が駅を通過する
時間は変わらないはずだ。
警察側は、目撃者が見間違えたのではと思い、詳しい話を聞こうとした。
だがその目撃者は、事故にあってしまう!
鬼貫警部と丹那刑事が捜査に加わり、改めて被害者の周辺を
調べると、ある‘証拠’が出てきた。
鬼貫はその‘証拠’に着目し、九州へと向かう!
そして、そこで事件の鍵をつかむことになる!

完璧なまでに作り込まれた、アリバイ。
鬼貫は、そのアリバイを崩すことが出来るのか?!
2転、3転する展開が、読者をひきつけて離さない!
「憎悪の化石」の面白さを凌駕する!
著者の記念碑的傑作が堪能できます!

『黒い白鳥 鬼貫警部事件簿 鮎川哲也コレクション』
著者:鮎川哲也
出版社:光文社(文庫)
価格:¥860(税別)