肌が粟立つ!マジ!戦慄!!「残穢」

家に置いておくのは怖い!という感想が多く、
怖くてとても読めないと思っていた、小野不由美さんの
「残穢」を読みました。
この作品、山本周五郎賞受賞作です。

確かに、この本は家においておきたくないくらい怖いです。

残穢

「私」という語り手は多分、小野先生本人ではないかと思います。
作家で若いころはライト系の小説のあとがきに、怖い話を募集していたと
書かれているので・・・・。
その頃から「私」の作品を愛読してくれいている、ファンの
女性(仮に久保さん)から、久しぶりに怖い話が届いた。
内容は、引っ越し先のマンションで、怪異現象が頻発するというものだった。
何かが畳を擦る音が聞こえる。さらに、帯のようなものが寝室の床を這うのを見た!

この怪異現象に何かひっかかるものを感じた「私」は、過去に読者から
寄せられた怪談話を探した。
そして、比較的近年に届いた手紙の中に、久保さんと同じ住所のものがあった。
マンション名は書かれていないが、町名・番地が同じものだった。
その手紙の主は女性(仮に屋嶋さん)で、一児の母だった。
屋嶋さんは、半年前ほど前に現在のマンションに引っ越してきたが
越して以来、2歳になる子供の様子が可怪しい。何もない宙をよく見つめている。
何があるのか尋ねると、「ぶらんこ」という。子どもの目には、そこに
ぶら下がって揺れている何かが見えるらしい。
さらに床を何かが這う音も聞こえたというものだった。

同じマンションの違う部屋で、似たような怪異現象が起こるものなのか?
「私」は、その怪異現象の原因をつきとめるために、久保さんと一緒に
調べ始めた。

怪異現象の原因を辿っていくと、マンションの建っていた土地を
巡る因縁めいた話に突き当たった・・・。
そしてその土地に住んでいたそれぞれの家族は、なんらかの理由で
よその土地へ越している・・・。
現代から遡って、バブル期、高度成長期、戦後期、戦前、明治大正期まで
調べ、たどり着いた怪異現象の元は、多岐に及んでいた。
だが、その大本はたった一つの「家」なのだ。
その家、土地で起こった悲惨な事件が、怪異を起こし、穢れとなって
伝染してゆく・・・。それは人であったり、土地であったり、家であったり・・。

その過程を読んでいるだけで、肌が粟立つ。怪異現象そのものはそれほど
強烈ではないのに、何がそんなに怖いのか!
触れてはいけないタブーな怪談・・・。
さらに「伝染する」というその言葉に衝撃を受けた。

あまりに怖すぎて、もうこの本を開きたくない・・・。

『残穢』
著者:小野不由美
出版社:新潮社
価格:¥1,600(税別)7月下旬に文庫発売予定。