元お笑い芸人さんが描いた、横溝正史ミステリ大賞受賞作「神様の裏の顔」

2014年、第34回横溝正史ミステリ大賞受賞作
「神様の裏の顔」の著者は元お笑い芸人・藤崎翔さん。

ピース・又吉さんの芥川賞受賞といい、
お笑い芸人さんって凄い才能があるんだと
改めて思いました。

江戸川乱歩賞とともにミステリ好きならば
この横溝正史ミステリ大賞もとても気になるところ!
読んでみると、あまりの面白さに止まらない止まらない!

神様の裏

教育熱心で教師の鏡、あるいは神様のような、坪井誠造氏が亡くなった。
通夜の参列者は、ご近所さんから、小学生の一団まで、とにかく皆が
深い悲しみに包まれ、だれもが涙を流した・・・。

教え子、元同僚、ご近所さんなど・・・参列者は故人に
対してそれぞれ様々な思いを抱いていた・・・・・。
と同時に故人の思い出が甦ってきた。

元教え子は先生を一番慕っていた。友人が自殺した時
先生が言った言葉を忘れることが出来ない。
隣に住む老女は、自分の夫の認知症と徘徊で悩み
相談したこと、だが、夫は残念ながら事故死したこと、
元同僚は、自分の息子の非行に悩み相談したこと。
だが、バイク事故で寝たきりになってしまったこと。

やがて、故人に対する哀しみが疑惑へと変化する・・・。

そして、通夜ふるまいの席で、ある一人が何となく
つぶやいた「この人に限ってそんなことはないよな」という
ひと言で、それぞれ自分たちが抱えてしまった、故人への疑惑を
話し出した・・・。

元お笑い芸人の著者が描いたミステリー。
日常のなんでもないネタの寄せ集めが、とんでもない事件に繋がっていた!?
絶妙なタイミングで醸し出されるユーモアのセンス、
ミステりにはなくてならない謎の提示と衝撃の展開!
そして、人間の裏の顔?人間の心の闇。
それらすべてが見事なバランスで描かれていて、
とんでもなく面白い!
とても処女作とは思えない出来!

ミステリ好きには絶対におススメ!
超!ぶっ飛びの面白さです!

『神様の裏の顔』
著者:藤崎翔
出版社:KADOKAWA
価格:¥1,500(税別)