芦沢央さんの「罪の余白」は第3回野生時代フロンティア文学賞受賞作。
これは著者のデビュー作。
読み始めた時、凄いと思った。
キャラクターの心理描写の上手さに驚いた。
これがデビュー作・・・?
早速、映画化された。主演は内野聖陽さん。
嫌がらせの過程でクラスメートを転落死させてしまった美少女、咲。
スクールカーストの頂点に立つ咲は、常に頭が良くて良い子を
演じていた。
咲はそんな自分の立場を守るために、このことが明るみに出ないように
次々と隠蔽工作を繰り返す。
行動心理学者の安藤は、愛する妻に先立たれ、残された娘を
大切に育てていた。
その娘が学校で転落死した。
クラスメートからの手紙には「全然悩んでいるようには見えなかった」と
書かれていた。娘の死の真相を知りたいと強く願う安藤。
そんな時、親友だったという少女が娘の弔問に訪れた。
安藤はその少女に娘のことを聞こうとするが、少女にさらりと
かわされてしまう。
だが、娘の日記を捜すと言うと、少女も一緒に探し始める・・・。
そして娘の日記がパソコンのなから見つかる。
少女とともにその日記を読んだ安藤は、娘がいじめられているのを
初めて知る。
そして少女は、その日記の存在を知り恐怖にかられる!
娘の復讐を願う父と、自らの犯した罪を隠蔽しようと画策する少女。
次第に崩壊してゆく二人の心が緻密に丁寧に描かれている。
そして、その過程で肥大してゆく少女の悪意のすさまじさに驚愕する!
人の悪意はどこまで肥大するのか?少女の罪は暴かれるのか!?
父の復讐はかなうのか!?
緻密な心理描写、驚異の展開で読者を魅了する!
他の作品も読んでみたいと強く思った。
『罪の余白』
著者:芦沢央
出版社:KADOKAWA(文庫)
価格:¥660(¥600+税)