モンスター・リカが恐ろしい「リカ」&「リターン」

第2回ホラー小説大賞を受賞した、五十嵐貴久さんの「リカ」。
めちゃめちゃ怖い女性が主人公です。

妻子あるサラリーマンの本間は、ほんの遊び心で
出会い系サイトに登録する。
そしてそこでリカという女性と出会う。
しばらくメールでやりとりをしていたが、リカの異常な
数のメールに本間は背筋が凍った。
本間がリカからのメールを無視するとリカは異常な行動に出る。
本間はたまらずに、元刑事と名乗る探偵に調査を依頼するが、
ある日無残な死体となって発見される。
モンスターと化したリカの執拗なストーキングはさらに
エスカレートする!

リカ

「リターン」は「リカ」から十年後を描いた警察ミステリー。
行方不明となっていた、本間らしき男が遺体となって発見された!
コールドケース専門の刑事・尚美は、リカの仕業だと断定。
十年前、リカは己の欲望を全うするため、邪魔者はすべて排除。
そして、本間を自分だけのものにして、行方をくらました。
そしてようやくリカの影が浮かんできたのだ。
だが、リカを追跡してもなぜか逃げられてしまう。
本間の事件は特捜本部が出来、捜査官総出でリカの隠れ家を
捜すが、全く手掛かりがつかめなかった。
そこで、捜査一課の刑事が出会い系サイトに登録。
リカをおびき出すことに成功する。しかし・・・・。

リターン

「リカ」の異常性が半端ない。自分の想いだけがすべてだ。
そのためならば、人を殺してもなんとも思わない。
その残虐性も際立っている。
深い深い心の闇が広がっている。

また、「リターン」の女刑事・尚美も「リカ」で尊敬する上司を
失った。心が壊れてしまったのだ。
その上司に尊敬と深い愛情を感じている自分に気が付いたとき、
尚美もまた心に闇を持つことになる・・・。

女性の究極の欲望の形をこれほどの描写で描いた本はない。
確かに残虐だが、あまりにも自分の想いにストレートなピュアな
ものも感じられる。
しかしそれが恐ろしい!
2冊とも読みだしたら止まらない!
リカの圧倒的な存在感が読者の心にインプットされる!

『リカ』
『リターン』
著者:五十嵐貴久
出版社:幻冬舎(文庫)
価格:いずれも¥600(税別)