本格的警察小説の醍醐味!「代官山コールドケース」

佐々木譲さんの「地層捜査」に続く特命捜査対策室シリーズの第2弾
「代官山コールドケース」をいっき読みしました。

警察小説はこれだ!と言っても過言ではないくらい、
地道な捜査に焦点をあてた警察小説の傑作です。
迷宮入り事件を再捜査し、眠っていた事件を掘り起こす
その過程が非常に面白いです!

代官山

「代官山コールドケース」
17年前に代官山で起きた女性暴行殺人事件。
容疑者の死で事件は解決した。
だが、現在、川崎で起きた同様の事件の現場から
17年前の現場に残っていたDNAと同じものが見つかった。
真犯人は別にいた!?
17年前の事件は被疑者が死亡しているが、真犯人が
逮捕されれば冤罪事件となり国家賠償請求訴訟を起こされてしまう。
もし、それで負けたら警察の威信は地に墜ちてしまう!
17年前の事件は「偶然解決されたこと」にする必要がある。
川崎の事件を神奈川県警が解決する前に、警視庁が
真犯人を逮捕しなけれればならない!
上司から無謀な密命を受けた、特命捜査対策室の水戸部は困惑しつつも
再調査に動き始める。
今度の水戸部のバディは、水戸部よりも年上の女性巡査部長・
朝香千津子。性犯罪担当の優秀な捜査員だ。
二人はまず、17年前渋谷署が担当した代官山の事件の調書を
読みこみ、当時の事件関係者から話を聞くことから始めた。

そんなとき、渋谷署で代官山事件を担当したという時田刑事が水戸部に声をかけてきた。
なにかあれば協力できると・・。
だが、西日暮里で女性看護師暴行殺害事件が起き、時田はその本部へ呼ばれ、
事件を担当する事になった。

水戸部チームが17年前の事件を掘り起こしてゆくと、時田たちが
現在抱えている事件の関係者と繋がっていることに気づく・・・。
警視庁の威信をかけ、密命を帯びた水戸部、そして、科捜研へも
密命が下る。

特命捜査班、科捜研それぞれ無謀な使命を受け必死で新たな証拠
を捜す、その地道な働きでやがて事件の真相に至る。
ミステリーにありがちなどんでん返し、衝撃の展開はないが、
証拠を積み重ねてじわじわと犯人に近づいてゆくその過程が非常に
面白い!
これこそ、警察小説の醍醐味だと思う。
その醍醐味をたっぷりと味あわせてくれるのが、「迷宮入り」ものかも知れない。

警察小説の面白さを堪能したい人におススメの作品!

『代官山コールドケース』
著者:佐々木譲
出版社:文藝春秋(文庫)
価格:¥730(税別)