恐怖のサイバーサスペンス!「スマホを落としただけなのに」

第15回『このミステリーがすごい! 』大賞・隠し玉に選ばれた
「スマホを落しただけなのに」(志賀晃著)。
スマホという自分の分身が、ひと時でも手を離れると
たちまち己を陥れる恐怖に変わる?!
その恐ろしさをリアルに描き、さらに連続殺人鬼を追う
警察捜査の過程も描かれる!
隠し玉にしておくのはもったいないくらいに、ハラハラ
ドキドキさせてくれる、新感覚のサイバーサスペンスです!

麻美の彼氏・富田がスマホを落してしまい、それが
拾われたことから、麻美と冨田はとんでもない
事件に巻き込まれてしまう。
拾い主は、麻美が彼氏のTELに連絡したことで、
麻美に興味を持つ。スマホを返却すると言いながら、
その前に冨田のデータを根こそぎハッキング。
冨田のスマホのデータから麻美の情報を盗み出し
人間関係を監視し始める・・・。
拾い主は、ハッカーよりも悪辣なクラッカーだった。
セキュリティを丸裸にされた冨田のスマホがSNSを介し
麻美と冨田を陥れる凶器へと変わってゆく。
何も知らない二人は、ずぶずぶと男の罠にはまってゆくのだ。

そんな二人がネット上で狡猾なクラッカーに狙われ始めた頃、
神奈川の山中で身元不明の女性の死体が次々と発見されていた。
神奈川県警刑事部の毒島(ぶすじま)は、相棒の加賀谷とともに
山中で女性の変死体を発見するが、さらに人間が1人
埋められそうな「穴」をいくつも発見する。
これはさらに犠牲者が増えるということなのか・・・?
連続殺人鬼の影もちらついてきた。

仕掛けられた罠は幾重にも重なり、登場人物だけでなく
読者をも翻弄する。
気軽にやっているSNS。身近で便利なツールであるからこそ、
悪用されれば、自分の人生の全てを奪われてしまう。
いつ自分の身に降りかかってくるとも限らない。
他人事ではない恐怖を感じてしまう!
そう思いつつ、読みだしたら止まらなかった。
半端ないスリルとスピード感、そして感動のラスト!
文句なく面白い、サスペンスミステリーの新境地。

『スマホを落しただけなのに』
著者:志賀晃
出版社:宝島社(文庫)
価格:¥650(税別)