警察の闇に焦点を充てた「朽ちないサクラ」

柚月裕子さんの文庫新刊「朽ちないサクラ」を
読みました。
「盤上の向日葵」が本屋大賞にノミネートされ、
物凄く注目されています。そんな時期の文庫化です。

近年、ニュース報道で耳にする警察の不祥事の数々。
なぜ起こるのか?警察の闇とは?

H県警でストーカーの被害者が殺害されるという
事件が起こった。
被害届の受理を先延ばしにしていた捜査員たちが、
その間慰安旅行に行ったとスクープを飛ばした地元新聞。
誰が情報を漏らしたのかと県警内部では疑心暗鬼に・・・。

警察事務職の中途採用で県警広報部に入った泉は、
地元新聞に入社した高校時代の親友に慰安旅行の件を
思わず漏らしてしまった・・・。

スクープは彼女が書いたのではと疑い、責めてしまったが
親友は絶対に違うと言った。
では、スクープを書いた人物は誰なのか?

そんなとき、親友が遺体で発見された。
泉は親友の言葉を信じ、事件の真相を明らかに
するため、警察学校の同期・磯川刑事に
秘かに協力を仰ぎ、独自に調査を開始するが・・・。

ストーカー殺人事件、警察の不祥事、親友の死・・・
それは事件の発端に過ぎなかった。
二人の捜査が核心に近づくにつれ、何者かが暗躍
し始めたのだ。

組織の闇を描いているが、謎解きの部分も申し分なく
描かれていて、トリックや謎の人物の設定など、
推理小説としても本当に面白い。

ヒロイン・泉が悲しみを乗り越えて到達した真実は
今まで信じていたものが崩れ去るような衝撃だ。
それでも前を向いて歩き出すヒロインの姿勢に感動する。

女性にもおススメの警察ミステリー。

『朽ちないサクラ』
著者:柚月裕子
出版社:徳間書店(文庫)
価格:¥680(税別)