時代小説に斬新過ぎる謎の設定に絶句!「この世の春」

宮部みゆきさんの「この世の春」(新潮社)を読みました。
言葉もでないくらい面白かったです。
〇十年前、「火車」を読んだ時以来の凄すぎる衝撃!
読んでる時に目が先へ先へと流れていくんです。
わかってもらえますか!?

小藩の北見家で、お家騒動が持ち上がった!
北見藩の下級武士の娘・各務多紀は、ある日の深夜
赤子を連れた女中から助けを求められる。
その女中は、藩主北見重興の御用人頭の嫡子の乳母
だった。

若き藩主、北見重興は乱心のため押込め(強制的隠居)
させられ、その御用人頭は切腹させられたのだ。
その後、北見重興は藩の所有する屋敷・「五香園」の
座敷牢に幽閉されたのだった。

北見藩は重興のいとこが藩主となり、慌ただしかった
家中はようやく落ち着きをとりもどすが、多紀の父親が急逝してしまう。
父の葬儀が終わると、多紀の従弟・田島半十郎から思わぬ話が届く。
「五香園」で押込めにあった元藩主・重興の世話を
してほしいと依頼される。

しかし、名君の器と言われた重興がなぜ押込めにあわねばならなかったのか?

乱心による藩主押込め事件の裏に隠された深い闇。
重興に起こった悲劇の謎と、北見藩に隠された秘密を暴く・・・。
二重三重に張り巡らされた謎の数々は、誰も想像すらできないだろう!

次第に明らかになる真相、読み進めると背筋が冷たくなってくる!

時代小説ミステリーには斬新過ぎる謎と展開に驚愕!
超弩級の面白さだ!
この物語、よくぞここまで練り上げられた!
凄い!凄い!!凄い!!!

宮部さん作家生活30周年にふさわしい大傑作。

『この世の春 上下』
著者:宮部みゆき
出版社:新潮社
価格:上下各¥1,600(税別)