心に沁みる医療ミステリー「祈りのカルテ」

知念実希人さんの「祈りのカルテ」
(KADOKAWA)を読みました。

研修医・諏訪野が患者の心に寄り添い、
心の傷を癒す・・・。
感動ものです。

研修医・諏訪野は、精神科で研修中に
睡眠薬を大量服薬し、救急搬送された女性に
面会させられる。
救急外来では、いつものことだから・・と
言われ「???」と思っていた諏訪野。
なぜ、その女性は毎回決まった時期に自殺を
図ろうとするのか?

胃がんの疑いのある老齢の男性。
病変部を内視鏡手術で焼き切る簡単な手術を受けることに。
その方が開腹手術よりも術後の傷の回復が早い。
男性とその娘はほっとした様子で納得した。
しかし、ある日男性は、突然開腹手術をして
欲しいと言ってきた。
男性に一体何が起こったのか?

足の太ももを火傷した女性が運び込まれた。
諏訪野は毎日丁寧に傷の手当てをしていた。
ところがある日、火傷が広がっているように感じた。
入院しているのになぜ火傷が広がるのか?
見間違いなのか・・・?
諏訪野の疑問は大きくなってゆく!

ぜんそくの持病のある少女が、突然発作を
起こし救急搬送されてきた。
病院の適切な処置で発作は収まったが、
しばらく入院することになった。
ぜんそくの検査をすると数値に異常が見つかった。
薬は両親からきちんと投薬されているらしい。
しかし・・・。諏訪野は虐待の一種
「代理ミュンヒハウゼン症候群」を疑うが・・・。

心臓に重度の疾患がある人気女優が入院している。
病院はその女優が入院していることを極秘にしていた。
しかしある日それが外に漏れ、週刊誌に載ってしまった。
女優の事務所社長は記者会見で、心臓移植のための
募金を募ると言い出した!
女優の本心は!?

病院内の様々な医局で研修を重ねる新米医師・諏訪野。
そこを訪れる患者たちの内面に触れ、彼らが抱える悩みや、
心の闇に迫る。諏訪野の優しさと医師としての卓越した能力が、
閉ざされた患者の心を癒してゆく。
一つ一つのエピソードとそこに繋がる
意外な真相に「ハッ!!」とさせられる。

人の温かさがしみじみと心に沁みる、医療ミステリーの極致。

『祈りのカルテ』
著者:知念実希人
出版社:KADOKAWA
価格:¥1,300(税別)