男気あふれる展開に痺れる!『夢胡蝶 羽州ぼろ鳶組』

シリーズいっき読みするのは、もったいないので、
じっくり読んで6巻目です。

「夢胡蝶」は吉原が舞台。
苦界に身を投じなければならなかった女性たちの
悲哀も描かれ、とても切ない展開もあります。
そして、彦弥の過去も明かされる、彦弥のかっこ
よさと哀愁が際立った巻です!

ぼろ鳶組の纏番・彦弥は、半鐘が鳴っている方向へ
奔った。そこは江戸最大の「不夜城」吉原…。

燃え盛る炎の中で、一人の遊女が押し入れに
隠れた。死にたい…ただそれだけの思いだった。
故郷に思いを馳せ覚悟した瞬間、突然男の声がした。

「お前の願いをすべて叶えてやる。だから生きろ」
遊女は男のその言葉を聞いて、自分の命を託した。

彦弥と妓楼醒ヶ井の花魁・花菊との運命的な出会い…。

吉原で不審な火事が頻繁に起き、吉原火消の
矢吉が、松永源吾率いるぼろ鳶組を訪ねてきた。
彦弥に花魁・花菊を助けてもらったことで、
矢吉は、ぼろ鳶組を頼り吉原の火事の調査を
手伝って欲しいと依頼してきたのだ。

頼まれると断れない性格の松永は、火事の真相を
探るため、彦弥・星十郎・寅次郎・武蔵らとともに
吉原に滞在することになった。

だが、吉原にいた火消たちは、彼らだけではなかった。
大名火消に定火消たちもすでに入っていたのだ。

この火事の裏には何かある…と感じた松永たちは
早速調査を開始する。

彦弥と花菊の運命的な出会いと恋模様を背景に
謎の事件が次々と起こる。

吉原で連続して起こる火付け、下手人と思われる
者の殺害事件、そして黒幕…。
星十郎と、松永の妻・深雪の推理が冴えわたる!!

そして、花菊との約束を守るため、命をかける
彦弥があまりにもかっこよく、彼の男気に
痺れてしまった。

今回登場した、吉原火消の特殊性が際立ち、
とても面白かった。同じ火消でも全く立場が違う。
しかし立場なんかくそ喰らえ!火が出たら
消すのが火消だ!松永の言葉で吉原火消も
本気になった!!

前巻以上に面白い展開に興奮冷めやらず!

『夢胡蝶 羽州ぼろ鳶組』
著者:今村翔吾
出版社:祥伝社(文庫)
価格:¥760(税別)