大人気!法医昆虫学捜査官第7弾「スワロウテイルの消失点」

昆虫の生態から、殺人事件の謎を解く!
「法医昆虫学捜査官」シリーズ第7巻は
「スワロウテイルの消失点」。

腐乱死体の解剖中、立ち会った刑事たちに
異変が起きた!
体中に赤い湿疹が発生し、出血と猛烈な痒みに
襲われた。感染症の疑いありというここで、
全員が隔離された。

しかし、解剖中に腐乱死体にわいた昆虫を
かき集めていた昆虫学者の赤堀は、
「蚊」の仕業だと断定。
しかも日本では発生していない、中国か
台湾にしかいない「小黒蚊」。
そんな蚊がなぜ遺体から発生したのか?
赤堀は、通常の昆虫の調査とともに「小黒蚊」の
出所を調べ始める。

一方、警視庁捜査一課所属で、赤堀のお目付け役
岩楯刑事は、高井戸署の機動捜査隊員・深水巡査部長
とコンビを組んで、腐乱死体の身元を突き止める。

慎ましい生活を送り、趣味で俳句を楽しみ、
俳句仲間から慕われていた老人がなぜ殺されたのか?

捜査の過程で浮かび上がってきた老人の素顔と
生活が激変するほどの幸運。
それは明らかに殺人の動機となった。

そして、赤堀が調査する「小黒蚊」の発生源だが、
赤堀をもってしても足取りがつかめない。

そんな時、つばめを愛する孤独な少年と出会う。
つばめを守るために天敵の烏を駆除していた
少年だった。赤堀はこの少年に危機感とともに
深い同情の念を感じる。
そして、つばめから小黒蚊の出所をつかんだ赤堀。
少年とともにつばめの巣を追う。

今作の赤堀も、女性なのに顔中昆虫だらけにして
遺体から昆虫を採取している。その
シーンを読むだけで、本当に鳥肌が立つ。
岩楯刑事はそんな赤堀を怒鳴りながらも、
自分の職務に忠実な姿勢に、益々信頼を深くしてゆく。

そして岩楯の相棒・深水は、妙に斜に構えて
いるが、仕事ができる。しかし、彼は何かを背負って
いるように見える。

それぞれの人間ドラマを描きつつ、事件の
捜査は進展してゆく。
そして、岩楯たちの捜査と、赤堀たちのつばめの
追跡が交差したとき、悲劇の真相につながってゆく。

心に闇を抱く人間の恐ろしさと浅ましさを
まざまざと見せつけられた。

昆虫学者が主人公の異色の警察ミステリー。
面白いです。

『スワロウテイルの消失点 法医昆虫学捜査官』』
著者:川瀬七緒
出版社:講談社
価格:¥1,500(税別)