映画館で映画を観たくなった・・・。『任侠シネマ』

今野敏さんの「任侠」シリーズの最新刊が
出ました!!
「任侠書房」「任侠学園」「任侠病院」
「任侠温泉」に続く、第5弾「任侠シネマ」です!

一本筋の通った任侠道で、数々の組織を
建て直してきた、阿岐本組。
今度は、映画館の建て直しに奔走する!?

阿岐本組組長の弟分・永神がまたしても
仕事を持ってやってきた。
阿岐本組の代貸・日村は心の中でため息をつく。

永神は、映画館の建て直しに力を貸してほしい
と阿岐本に頼み込む。
その映画館は、不動産会社が経営しているが、
映画館の客足が遠のき、営業が難しく
なっているため、閉館しようとしていた。
ところが、その映画館のファンクラブが
閉館を反対しているとのことだった。
不動産会社の社長も、映画館を閉館してしまうのは
残念だと思っているようだ・・・。

阿岐本はその社長に会って話を聞くことに。

社長の話を聞いたあと、阿岐本は日村を誘って
リバイバル上映されていた、高倉健の任侠
映画を観る。
映画館で映画を観るのはいいもんだよな~とつぶやく。
日村は映画館で映画を観たことがなかったが、
健さんの映画にどっぷりはまってしまった。

映画館は素晴らしい。建て直すところはない。
では何が問題なのか・・・・?

この問題を解決したのは、今までパソコンに
しか興味がなかったテツの言葉だ。
テツは不器用な言葉で阿岐本や日村に訴えかける!
このテツの言葉が心を打つ!!!
素晴らしい!泣ける!思わず泣いた。
「形だけのイベントなんてやっても人は集まらない。
やっている人が楽しいと思わないとだめなんだ!」

いつものように、やっぱり悪い奴は登場するが、
今までの任侠シリーズと一味違う「任侠シネマ」だ。

また、暴対係なんだけど頼りない甘糟刑事が
今回はちょこちょこ顔を出す。
新しい係長が非常にヤクザに厳しいのだ。
お店にヤクザと関わるなと過度な指導をしたせいで
阿岐本組の面々はご飯にありつけない。
配達してもらえないからだ。
そんな中でも、阿岐本組に世話になった大将たちが
新参者の暴対係の係長など無視して配達してくれる
シーンはじ~んとする。

やっぱりこのシリーズはほんとに面白い!
どのシーンも爽快な気分にさせてくれる。
そして、読み終わった後、無性に映画館に
行きたくなりました。

『任侠シネマ』
著者:今野敏
出版社:中央公論新社
価格:¥1,500(税別)