慟哭のミステリー、「極刑」

小倉日向さんのデビュー作「極刑」
を読みました。

デビュー作と聞いてびっくり!
あまりの面白さにグイグイ
引っ張られ、いっきに読んで
しまいました。

『極刑』

娘を殺された半田龍樹。
殺してやりたいと思うほど
憎いはずなのに、半田は
被疑者に対し、極刑を
望まなかった。
そのことで妻とは離婚。

そして、小さな居酒屋を始めた。
半田の穏やかな性格と、美味い
料理は評判となり常連客も増えた。

しかし、半田には隠れた貌があった。
罪を犯し一度は刑に服しながら、
出所後も同じ罪を繰り返す者たち。
全く後悔していない、反省の態度
すら見せない。
そんな者たちを執拗に追跡し、
制裁を下す、闇の私刑人。

半田によって制裁を受けた者たちは
それ相当の罪がある。
とても人間の行為と戸は思えない
残虐なものだ。
ある意味、この世から消えた方が
良い者たちだろう。
読んでいると痛快で、爽快感すら覚える。

しかし、半田もこのままでは
終わらなかった。
思いもよらない事態が半田を襲う・・・。

法とは何か?罪とは何か?
大切なものを失った苦しみはどうしたら
癒えるのか?
深く、重いテーマが心に響く。

人間の心の深い闇を、白日の元に
晒した、ダークミステリーの極致。

著者:小倉日向
出版社:双葉社
価格:¥1,600(税別)