切なすぎる青春ミステリー『向日葵を手折る』

版元さんのお薦めで、読ませて頂きました。
初読みの作家さんの作品。
彩坂美月さんの「向日葵を手折る」です。

9月19日放送の「王様のブランチ」で
紹介され注目されています。

美しい自然にあふれた、山形の山あいの
集落を舞台に、一人の少女の4年間の
成長を、丁寧に描いた青春ミステリー。

父の死がきっかけで、母の実家がある
山形の集落に引っ越してきた、小学6年生のみのり。
引っ越したその日に同級生の男の子と出会う。
優しさに満ち溢れた少年・怜。
家が隣同士だったこともあり、みのりと怜は
意気投合する。

怜の親友・隼人は、女の子を足蹴にするような
乱暴な男の子。
みのりは、隼人に何度か忠告するが、
隼人に逆襲されてしまう・・・。

それでも同級生たちと心を通わせ始めた
夏のある日、集落の行事「向日葵流し」
のために植えられていた向日葵の花が
何者かによって全て切り落とされると
いう事件が起きる。

それは「向日葵男」の仕業だと噂された。
そして、みのりの身の回りで次々と
不穏な事件が起こる。

鮮やかに季節が巡る美し過ぎる自然。
ガラス細工のような脆さと真っ直ぐすぎる
正義感を併せ持つ少年少女たちの心の動き・・・。
彼らを見守る大人たちの厳しさと優しさ、
そして、随所にちりばめられた伏線。
その伏線が回収された先に明かされる
あまりにも切ない真相。

緻密に編み上げられた物語。
素晴らしいの一言。

この本に巡り会えて良かったと
心の底から思える1冊。

『向日葵を手折る』
著者:彩坂美月
出版社:実業之日本社
価格:¥1,700(税別)