たとえようのない気味悪さ。でも止まらない「異端の祝祭」

KADOKAWAホラー文庫激押しの一冊。
芦花公園さんの「異端の祝祭」を読みました。

民俗学×カルト×ホラー。
開けてはいけない扉を開いてしまった・・・。
そんな感じの「禁忌」なホラー。

島本笑美は、自己肯定感が低い女性。
そのせいで、小さいころからいじめにあい、
就職もままならない。
兄に頼っているばかりだった。
ところが、ダメ元で受けた大手食品会社
「モリヤ食品」の青年社長に気に入られ
内定を得る。

しかし、研修と称し連れてこられたのは
山の中にポツンと建つ施設。
そこで笑美が見たものは奇声を発し
床を這いまわる人々だった。

一方、笑美の様子を心配する兄の陽太は、
心霊関連を専門に扱う佐々木事務所を
訪れ、妹のあとをつけ、妹が何をして
いたのかを詳細に語った。

佐々木事務所の所長・佐々木るみは
陽太の話を聞き、笑美が非常に危険な
状態にいると判断。
すぐに動かないと取り返しのつかない
ことになる・・・。

所員の青山幸喜とともに、モリヤ食品
の青年社長を訪ねる。

登場人物が、人ではない何かが見える
人たち。
その力を使って他人をコントロール
する者、あるいはその力に絡めとられ
ようとする人を助ける者。

そのすさまじい闘い・・・。

そして、「人ではない何か」の描写が
あまりにも薄気味悪い。

読み始めてから、あ~これはヤバイ展開
と危機を感じたが、すでに取り込まれて
しまい、ハラハラしながら読み切った。

幽霊的な怖さより、壊れてしまった人の
力の方が数段恐ろしい。

それでも、佐々木&青山コンビに救われる。
気味悪さもどこかへ消えてしまった。
このコンビの活躍、また読みたいと思った。

『異端の祝祭』
著者:芦花公園
出版社:KADOKAWA(ホラー文庫)
価格:¥748(¥680+税)