関小玉の若き日を描く第5弾「紅霞後宮物語 第零幕5未来への階梯」

「紅霞後宮物語」の本編は皇后・関小玉と
皇帝・文林の関係と、後宮で起こる
事件や政変を描き非常に面白い。

そして、関小玉の若き時代を描く、
「零幕」シリーズも、どんどん
面白くなってゆく。

小玉は、戦の最中思わぬ襲撃にあい、
小玉が一番信を置いていた、復卿が戦死した。

その死に衝撃を受け、何とか
受け入れようとしていた小玉の前に
喪中で公休中の文林が陣営にやってきた。
復卿の死を「自分のせいだ」と言い、
周囲に波紋が広がる。
そんな文林の言葉が小玉の心に
暗い影を落とす・・・・。

そして、戦が終わり都に戻った
小玉を待っていたのは、家族との時間と
去り行く人々の思いだった・・・・。

復卿の恋人だった青喜の思いが切なく、
彼を思いやる周囲の人々の優しさが際立った。

復卿を失った戦には様々な思惑が渦巻いていたらしい。
しかし、小玉は半分しか真相を知ることが出来なかった。
文林とは戦後処理を巡り、けんかが絶えない。

また、甥の丙が小玉が戦に出ていることを
心配し、情緒不安定になってしまうシーンが
切なかった。

小玉は上官からあるものを贈られる。
それは小玉にとって、運命の出会いであった。

そして、小玉の運命は大きく動いてゆく・・・。

第零幕6の展開が待ち遠しい!

『紅霞後宮物語 第零幕五 未来への階梯』
著者:雪村花菜
出版社:富士見L文庫
価格:¥660(本体¥600+税)