今回の奇跡は本物か!?「バチカン奇跡調査官天使の群れの導く処」

藤木稟さんの「バチカン奇跡調査官」
シリーズの最新刊、「天使の群れの導く処」
を読みました。

今回は、キルギスの教会で起きた
奇跡の調査を行う。
政治情勢が安定しないキルギスで
本当に奇跡は起こったのか・・・?

モスクワ発で香港へ向かうロシアの
旅客機・アエロフロート208便が
キルギス上空で突如エンジンが停止した。
乗客乗員の命を守るため、機長・副操縦士
らは様々に試みるも成す術がない。
もう墜落するという絶対絶命のピンチの中、
突如空が光り、その中から天使たちが現れる。
そして天使たちに導かれた旅客機は、
キルギス国際空港に無事着陸した。

さらに同じ夜、首都郊外のセロ・タシュと
言う小さな町の教会で、巨大なキリスト像が
ひとりでに動いたのだ。
キリスト像が向いた方角こそ、天使たちが
現れ旅客機を救った国際空港だった。

バチカンの奇跡調査官の平賀とロベルトは
その調査のため、キルギスへと向かった。

平賀はバチカンの神父でありながら
優秀な科学者だ。
彼の詳細な調査で、キリスト像が
ひとりでに動いた真相が明らかになってゆく。
しかし、旅客機の奇跡は平賀をもって
しても科学的解明に至らない。
今度こそ本当に奇跡が起こったのか!?

ロベルトは、カミッロ神父にキリスト像の
奇跡申請を勧めるが、カミッロ神父は
頑なに拒否をする。
その態度に疑念を抱くロベルト。

かたや、平賀は教会で偶然手にしたものを
シン博士に調査を依頼するが、シン博士は
危険すぎるからと怒り狂ってしまう。

二つの奇跡を結ぶあまりにも衝撃的な真相。
そして、平賀とロベルトに絶体絶命の
危機が訪れる!

今回際立ったのは、平賀が全く空気を
読まないところ。
シン博士に感謝を伝えなさいとロベルトに
注意され、素直に従うところが可愛かった。

さらに面白かったのは、キルギスの警察が
全く調査に協力してくれず、困った二人が頼った
のは、上司のサウロ大司教。
なんとサウロ大司教は、ロシア正教会
総主教を動かしてしまった。
凄い力業。さすがの警察もロシア正教会
総主教には逆らえない・・・。

平賀とロベルト、この神父コンビの
活躍は、いつも心を癒してくれる。

次回作も楽しみ!

『バチカン奇跡調査官 天使の群れの導く処』
著者:藤木稟
出版社:KADOKAWA(ホラー文庫)
価格:¥792(本体¥720+税)