シリーズ中最も泣ける展開!「警視庁53教場 カラスの祈り」

「警視庁53教場」シリーズ第5弾は前作
「正義の翼」の続編!
「正義の翼」は五味がこれまで経験した
ことのない、深くて暗い闇を暴き出した。

その元凶となったのは、一人の生徒だった。
彼の表の顔は優秀でリーダー的役割を
そつなくこなし、誰からも信頼される。
しかし裏の顔は、暴力で人を思い通りに
操る恐ろしい男だった。
この男を警察官にしてはならないと
決意した、五味と高杉はある計画を
持って、その男を男子寮の空き部屋へ
閉じ込め、開かずの部屋とした。
そして五味と高杉が日々彼の世話をしていた・・・。

五味教場では新たな生徒が学ぶ中、
開かずの部屋の存在が徐々に明らかになる。

捜査一課の転属を断り、警察学校に
残った五味。
信念を貫き、「彼」を卒業させなかった。
しかし、その結果は惨憺たるものだった。
府中警察署の瀬山綾乃と再婚した五味。
順調な結婚生活は、「彼」の言葉の
暴力で次第に綻びが・・・。
さらに教場でもきちんと生徒たちに
向き合えない状態が続いていた。

解決策を見出せずにいる中、法務省
矯正局から特任教授の赤木が着任
してきた。

五味の疲弊ぶりが読んでいてつらかった。
しかし、赤木教授の動きで少しずつ
状況が変わってくる。
絶対に矯正はできないと思っていた
「彼」は赤木の指導で徐々に心を開くが・・・。

歴代卒業生も五味のピンチに必死で
「彼」の起こした事件を調べてゆく。
その過程で浮かび上がるさらなる恐ろしい事実。

人間の闇とはここまで深いのか・・・・。
想像を絶する展開はまさに鳥肌もの。
そして、号泣のラスト・・・。

前作もシリーズ最高傑作と言ったが
それ以上の面白さ!
胸が熱くなる傑作。

『カラスの祈り 警視庁53教場』
著者:吉川英梨
出版社:KADOKAWA(文庫)
価格:¥836(¥760+税)