料理も謎解きも一級品!シリーズ第3弾「マカロンはマカロン」

テレビドラマ「シェフは名探偵」があまりにも
良かったので、その原作である、近藤史恵さんの
ビストロシリーズ第3弾「マカロンはマカロン」
を読みました。

商店街の小さなフレンチ・レストラン
「ビストロ・パ・マル」は気取らない
本当にフランス料理が好きな客の心と
舌をつかんで離さない。
シェフの三舟は、無口でちょっとぶっきら棒。
髪を後ろで束ね、髭がなかなか特徴的。
外国人に言わせると「サムライ」だ。
そんなシェフの特技はなんと、謎解き!?
シェフを慕うスーシェフの志村。
ワイン好きが高じてソムリエになった
紅一点・金子、そしてギャルソンの高築。

・コウノトリが運ぶもの
フランス料理と和解したい・・・と
「パ・マル」にやってきた、自然食品を
扱うお店の女性店長。
なにやら理由がありそう。
シェフの三舟は静かに彼女の話に耳を
傾ける。

・青い果実のタルト
ある日、パ・マルに来店したお客さんから
ブルーベリーのタルトを注文された。
パ・マルは、そのタルトは焼いていない。
不思議に思ったスーシェフの志村が
SNSを見ると、パ・マルのブルーベリーの
タルトがおいしいとブログに写真つきで
掲載されていた。
店を間違えたのか・・・?心をざわつかせる結末が。

・共犯のピエ・ド・コション
常連の女性客が、再婚することに。
思春期の息子も相手の男性にすっかり
なついているらしい。
ある日3人でパ・マルにやってきた。
豚肉が嫌いな息子が豚足のガレットを注文した。
その理由が、めちゃめちゃ微笑ましい。

・追憶のブーダン・ノワール
ブーダン・ノワールは、豚の血で作るソーセージ。
男性常連客が、ある日婚約者を連れて来店した。
その彼女にブータン・ノワールを薦める。
婚約者は薦められるまま食べるが・・・。
中国人の婚約者には複雑な思いが。

・ムッシュ・パピヨンに伝言を
ある日、おしゃれな大学教授がランチ終了
間際に来店してきた。
ランチを堪能した大学教授。
厨房でプラリーヌ入りブリオッシュの
話をずっと聞いていたようだ。
そこから彼のパリ留学時代の話に
及んだ。悲しい別れ話・・・。
三舟シェフはあることに気づく。

・マカロンはマカロン
美しい女性が二人連れでやってきた。
マダムっぽい女性と背が高くモデルのように
美しい女性。マダムに話を聞くと、女性だけで
営業するレストランをオープンするらしい。
食事が終わり、二人は気持ちよく帰っていった。
ところが数日後、マダムが困り顔で
やってきた。先日の女性と連絡がつかないらしい。
「マカロンはマカロン」という謎の言葉を残していた。

・タルタルステーキの罠
生肉を使うステーキ料理「タルタルステーキ」
を当日のメニューに載せて欲しいと
奇妙な予約が入った。
そしてその日、3人の女性が来店してきた。
一人は妊婦。三舟シェフはハッとする!

・ヴィンテージワインと友情
二十代のグループの中の女性が食事終わりに
ワインの持ち込みが出来るのか聞いてきた。
持ち込み料は一人1,000円。
納得して帰っていった予約の日、ヴィンテージ
ワインを6本持った女性がやってきた。
友人の誕生日だから奮発したらしい。
その日その友人たちがやってきた。
しかし、ワインを持ち込んだ女性がまだきていない。
そして、ギャルソンたちは、いや~なシーンを目撃
することに!

シリーズ第3弾もシェフの気づきにハッとする。
途中でもしかしてこんな展開?と読めたりするが、
その予想をはるかに超える驚き。

家族の話、恋の悩み、複雑な思い。
心に響く感動するエピソードもあれば、
気づきたくなかったと心がざわめく展開もある。

特に女性の「闇」が垣間見られるエピソードは
ちょっと怖い。

それでも、今回も何度でも読み返したくなる。
そんなお話が多くて癒された。

続きは出るのかな~。期待大。

『マカロンはマカロン』
著者:近藤史恵
出版社:東京創元社(創元推理文庫)
価格:¥792(本体¥720+別)