神奈川県警刑事部長・竜崎を脅かすライバル出現!『探花 隠蔽捜査9』

神奈川県警に刑事部長として異動になった
竜崎伸也にまたまた難題が持ち上がった!?
横浜中華街の次は横須賀で事件が・・・・。
今野敏先生の代表作シリーズ最新刊
「探花 隠蔽捜査9」を読了。

神奈川県警刑事部長として着任した、竜崎伸也は
まだまだ慣れない日々を過ごしていた。
警視庁大森署でもかなり変わった署長として
有名だった竜崎。こちらでもやはり変人扱い・・・?

竜崎のもとに横須賀の有名な公園・ヴェルニー公園で
男性の変死体が発見されたと知らせが入った。
阿久津参事官は殺人事件のようだと報告。
米軍基地が近いため、米軍からみの事件だと
やっかいだと言う。
捜査本部の件も考えるべきだと進言する。
竜崎は検視官の報告待ちと判断。

その後、佐藤本部長に呼ばれた竜崎は、
福岡県警から警務部長として、八島が異動して
くると知らされる。八島は伊丹と竜崎の同期だった。
三人の中で八島がトップ入庁だった。
優秀な八島だったが、彼には黒いうわさが
つきまとっていた。

殺人事件と断定され、横須賀署に捜査本部がおかれた。
しばらくして、事件の目撃者が現れた。
ナイフを持った白人らしき男性が米軍基地
あたりに逃走したという。

阿久津の懸念があたってしまった。
竜崎は米軍基地へ出向き事の仔細を話した。
そして、NCISから捜査協力という
名目で日系人捜査官・キジマが捜査に加わることに・・・。
だが、竜崎の周囲のものたちは明らかに迷惑顔だった。

神奈川県は、中華街に米軍基地など下手を打つと
国際問題になりかねない事情を抱えた、
警察にとってはやっかいこの上ない県だった。
しかし、竜崎はここでも警察の原理原則を押し通す。

さらに、この事件と同時並行で竜崎を悩ませたのは、
息子が留学先で逮捕されたのでは・・・?という
娘からの連絡だった!

竜崎の頭にあるのは、警察官としての職務だ。
殺人事件が起きたら捜査し、容疑者特定し逮捕する。
実にシンプルだ。それをややこしくしているのは
出世・保身・打算・忖度だ。
なぜ、そんなものにこだわるのか?
竜崎の思いはいつもそこにつながるのだと思う。

竜崎自身も新たな地で新たな役職を得て右往左往するが
やることは決まっていると割り切っている。
それを少しずつ周囲の者たちが理解してゆく。
その過程をスリリングな事件捜査とともに読める。
面白くて仕方ない。

刑事部長として、仁義を通すため八面六臂の活躍を
する竜崎。どんなに変人と言われようと、かっこいい。

今回も竜崎他、魅力的キャラたちとの掛け合いが心地良い。
特に、竜崎をやりこめた阿久津参事官、掴みどころのない
佐藤本部長とのやりとりがちょっとコミカルでいい味を
出している。

『探花 隠蔽捜査9』
著者:今野敏
出版社:新潮社
価格:¥1,815(本体¥1,650+税)