思わず涙があふれてしまう….「君といた日の続き」

辻堂ゆめさんの新刊、タイムスリップ
ミステリー「君といた日の続き」(新潮社)読了。
初読みの作家さん。
ずいぶん前から気になっていっました。
中年男性と10歳の女の子との触れ合いに
心が癒されます。
でも、中年男性にはある秘密が・・・。

娘を喪い、妻と離婚したばかりの冴えない
中年男性の前に突然現れた、10歳の少女。

彼女は、なんと1980年代からタイムスリップを
してきた女の子だった。

中年男性は、10歳の娘を去年亡くしたばかり。
尋常ではないその喪失感に打ちひしがれていた。

中年男性は娘の代わりが現れたのかと思った。
コロナ禍の夏休みということもあり、
娘にしてやれなかったこと・・・
彼女が自分とやりたいことを短い夏の間に
二人は疑似父娘となって楽しい時間を過ごす。

やがて、中年男性の10歳の時の記憶と女の子が体験
してきたことが重なっていたことがわかる。
中年男性が10歳の時に起きた、同級生の女の子の
誘拐殺人事件・・・。

もしかしてこの女の子はその犠牲者ではないか?
死の間際、2021年にタイムスリップしたのでは?
と思った。しかし・・・・。
女の子の登場で、もう一度自分の人生を見直す男性。

そして、あるページをめくった瞬間飛び込んでくる
真相に思わず心をわしづかみされる!
その意味がわかった時、思わず号泣!

全編をとおして描かれるなんとも切ない寂寥感。
少女によってもたらされる男性の心の変化。
緻密な心理描写が胸を打つ。
絶望から新たな希望に繋がるラストが素晴らしい!

感涙のタイムスリップミステリー。

『君といた日の続き』
著者:辻堂ゆめ
出版社:新潮社
価格:¥1,760(本体¥1,600+税)