元女性警察官の執念!「三星京香、警察辞めました」

「女副署長」シリーズの著者・松嶋智佐さんの
「三星京香、警察辞めました」(ハルキ文庫)読了。
著者の松嶋智佐さんは、元警察官で白バイ隊員だった
経験を活かし、警察小説を描く。
警察内部の描写はリアルで読み応えがあります。

県警本部刑事部捜査一課の三星京香は
後輩の女性刑事が警察内部でパワハラを
受けていることに気づく。
その張本人は、なんと刑事部長だった。
後輩の弱みに付け込み、パワハラを
行っている現場に踏み込んだ京香は
刑事部長に拳を振り上げ、怪我を負わせて
しまう。
そして、十年勤め上げた警察人生に終止符を打った。

その後、幼馴染の弁護士・藤原岳人を頼り、
彼が勤めている県内有数の弁護士事務所で
調査員として働くことになった。
離婚した夫から娘の親権を得ようと、京香は
岳人に間に入ってもらっていた。

岳人が抱えている案件は、奇妙な事件だった。
被告人の男性が、たまたま通りかかった
被害者の男性にお金を貸して欲しいと迫り
拒絶され口論になり、近くにあった看板で
殴りつけ後頭部に怪我を負わせた事件だった。

被告人の情状酌量の証人として、親交のあった
女性に法廷で証言して欲しいということで、
打ち合わせをする予定だったが、その女性の
行方がわからなくなってしまったのだ。

京香は、その女性の行方を捜すことに。
相棒は警察嫌い、パラリーガルの女性だった。

元警察官だった京香は足を使って調査する
ことに慣れている。
女性を探す過程で、この事件の胡散臭さが
際立ってきた。

女性を見つけ、3人で戻ってくる。
岳人に連絡するが、既読にならない。
娘を岳人に預かってもらっていたため、
京香はまず岳人の家に向かった。
ところがそこで、岳人の遺体を発見する!
娘は別の場所で静かに寝息を立てていた。
京香は安堵と恐怖と凄まじい怒りを感じた。
岳人を殺したのは誰なのか・・・?

この胡散臭い事件は、複雑な人間関係が
絡み合い、とんでもない真相に繋がってゆく。
そして、同時に岳人は誰に殺されたのか?
という謎を追ってゆくことになる。

三星京香の、元警察官としての矜持が
幼馴染の死の真相を暴く!

警察の事件捜査の描写が圧倒的にリアル!
さらに殺人事件の謎解きは、犯人当ての
本格的展開。
警察小説としても、本格ミステリー小説としても
楽しめる、傑作警察小説!
どうか、シリーズ化して欲しい。

『三星京香、警察辞めました』
著者:松嶋智佐
出版社:角川春樹事務所(ハルキ文庫)
価格:¥770(本体\700+税)