ユーモアミステリー、こちらの作品もおススメ!『被害者は誰?』

東川篤哉先生の作品全部読みつくしちゃって、次のユーモアミステリーを探している、読者の方々におススメの作品があります。貫井徳郎『被害者は誰?』(講談社文庫)です。

貫井徳郎さんと言えば、朝日新聞社『乱反射』(日本推理作家協会賞受賞作)、幻冬舎『後悔と真実の色』(山本周五郎賞受賞作)などのような、硬派な社会派ミステリー作品が多いですが、意外にもこのようなちょっとはじけた作品もあったとは驚きでした。はじけていると言っても、ミステリーとしての謎解きは一級品!!

美しく才能豊か、だけどかなり性格の悪い安楽椅子探偵・吉祥院慶彦と、ちょっと気弱で苦労症の刑事・桂島が活躍するコミカルな本格ミステリー短編集。表題作『被害者は誰?』ほか『目撃者は誰?』、『探偵は誰?』、『名探偵は誰?』の4編。いずれの作品も読者の意表をつく‘いたずら’が随所に盛り込まれ、無理のないミスリードで楽しく読める!読み出したら止まらない、貫井さんの隠れた名作!です。

『被害者は誰?』
著者: 貫井徳郎
出版社:講談社
価格:¥619(税別)

東川篤哉先生のサイン会!大盛況!

昨日は『謎解きはディナーのあとで』の著者である、東川篤哉先生のサイン会でした。
今井書店錦町店で午後6時からの開催でした。
ウイークデイの午後6時という時間帯でありながら、たくさんの東川先生ファンのお客様がかけつけてくださり、サイン会は大盛況。
サイン会の順番をお待ちいただくために椅子を用意したのですが、その椅子にも座りきれないくらい、長蛇の列でした。山陰のお客様は大感激!東川先生、サイン会ありがとうございました。

サインですが、とてもかっこよかったです。丁寧な字で感激しました!(はまさきもサインをしていただきました。嬉しい~。家に帰ってすぐさま飾りました。)

サイン会の様子です。↓

『謎解きはディナーのあとで』の展開です。↓ 『私立鯉ヶ窪学園探偵部シリーズ』の展開です。

『謎解きディナー』シリーズ、『私立鯉ヶ窪学園探偵部』シリーズ、『烏賊川市私立探偵鵜飼』シリーズいずれも大人気でした。

面白くてはまっちゃう!東川篤哉さんのデビュー作!

『謎解きはディナーのあとで』が昨年本屋大賞を受賞し、さらにドラマ化されブレイク!その著者の東川篤哉さんがなんと明日(3/28)米子にいらっしゃいます! そして、夜6時から今井書店錦町店でサイン会が行われます!!! 今が旬の作家さんのサイン会!はまさき大興奮です。 (はまさきも錦町店でスタンバイしています) 『謎解きはディナーのあとで』があまりにも面白かったので、既刊本を読んでみました!たまたま読んだ作品が東川さんのデビュー作でした。タイトルは『密室の鍵貨します』(光文社文庫)です。↓

舞台は烏賊川市(いかがわし)いかがわしい・・・・???。千葉の東・神奈川の西って・・・この名前からしてふざけてる?!はまさき、プロローグのこの烏賊川市の説明から、はまってしまいました・・・・。 烏賊川市の貧乏大学生・戸村流平は、元恋人の殺害とその日たまたま一緒にいた先輩が、浴室で殺害された2つの事件の容疑者にされてしまった。どちらの殺人も身に覚えのない流平は、姉の元夫で私立探偵の鵜飼杜夫に助けを求めた。二人は警察をの追求をかわしながら、真相究明に乗り出す。 なんとテンポの良いストーリー。これがデビュー作!?思わずうま~いと思ってしまった。密室という本格ミステリーでは欠かせない設定。その密室という不可能犯罪の解明はとてもまじめで論理的。 ストーリーを通してはユーモアたっぷりで、それでいて本格ミステリーとして成立している。すごく練りに練られたミステリー作品です。 登場人物のあまりのおかしさにすっかり惚れ込んだはまさき。シリーズになっているのかなと思ったら、やっぱりシリーズがありました。『密室に向かって撃て!』、『完全犯罪に猫は何匹必要か?』、『交換殺人には向かない夜』(3点光文社文庫)『はやく名探偵になりたい』、『ここに死体を捨てないでください!』(2点単行本・光文社)以上が「烏賊川市 私立探偵・鵜飼杜夫」のシリーズです。

『密室の鍵貨します』
著者:東川篤哉
出版社:光文社
価格:¥533(税別)

現在来日中!アスレチックスの奇跡を描く!「マネー・ボール」

今日紹介する作品は実はミステリー小説ではありません。でもめちゃめちゃ面白いのでどうしても紹介したいスポーツノンフィクションです。タイトルは『マネー・ボール』(マイケル・ルイス著)。貧乏球団で万年弱小と言われた「オークランドアスレチックス」を常勝球団に育て上げた、カリスマGM、ビリー・ビーンの手腕を描いたスポーツノンフィクションです。

ブラッド・ピットがカリスマGM、ビリー・ビーン役で映画化され、話題になりました。映画は観たかったけど観に行けず・・・・。先日DVDが発売になったので思わず買ってしまい、その日の内に観てしまいました。
以前公開された「メジャーリーグ」という派手な野球映画のようになるのかなと思って観ていました。ビリー・ビーンの苦悩、どうしたら勝てるのか?お金がないのでスター選手も呼べない。ないないづくしでビリーがとった奇策とは!?ビリー・ビーンに焦点をあてた、非常に渋い人間ドラマに仕上がっていてとても良かったです。(派手さはなかったけど・・・。)

しかし、原作の『マネー・ボール』はもっと面白いです。スポーツノンフィクションってそんなに読まないですが、この本は面白すぎていっき読みでした。

(画像は単行本。すでに文庫化されています。文庫の表紙は映画仕様でブラピが表紙です。)

勝てるチームにするには、選手のどこを見て投資するのか?!考え続けた結果、ビリーが出した策は、今までの野球の常識をほぼ覆してしまった。
スカウトマンからはあきれられ、球団本部からも強硬な反対にあう。しかしビリーは勝ち続けていくために信念を曲げなかった。
データを駆使し、選手の特性にあったポジションと支持を与える。勝つためにビリーは監督でさえも飛び越え、理不尽なまでのトップダウンで選手たちを、そして球団を変えていく。やがてアスレチックスは徐々に勝ち星を上げていく。
ビリーがいかにして球団を変えたのか?それは誰にも予想がつかない。読んでみてはじめて‘おおお~’と驚愕する。ほんとに面白かった。

日本での開幕戦のため、アスレチックスはマリナーズとともに来日中。その試合、この本をを脇に置いて観戦したら野球の面白さが倍増すること間違いなし!です。

『マネー・ボール』
著者: マイケル・ルイス
出版社:早川書房
価格:¥940(税別)

迷宮入りにはさせない!広域捜査専任特別調査室の活躍を描く!

近年、ミステリー小説の中で、特に良く読まれるようになったのが、‘警察小説’
横山秀夫氏が警察組織をリアルに描いたことから、たちまち人気に!!はまさきも‘警察小説’が大好きで何か面白い作品はないかと、いつも探しています。

そんな中、見つけたのがめちゃめちゃ面白い作品!!中公文庫「SRO 警視庁広域捜査専任特別調査室」シリーズ。富樫倫太郎著。
今までに『SRO 警視庁広域捜査専任特別調査室Ⅰ』、『SRO 警視庁広域捜査専任特別調査室Ⅱ 死の天使』、『SRO 警視庁広域捜査専任特別調査室Ⅲ キラークイーン』、『SRO 警視庁広域捜査専任特別調査室Ⅳ 黒い羊』の4作品が発売中です。

↓この4点です。

迷宮入りしそうな事件、発見された異常な白骨死体、家出人などの記録から、日本ではありえないとされてきた、シリアル・キラー(連続殺人鬼)を探し出す!特別に創られた新たな捜査室で事件の謎に迫り、真相を暴く。

アメリカのFBI捜査のように広域で捜査する。そのために新設されたのだが、警視庁のお偉方はまゆつばもの。何かあればすぐにでも潰したいところ。
そのために投入された捜査官たちは、警視庁のはみだしものばかり。しかし、このメンバー、リーダーも含め意外と優秀な捜査官たちだった。彼らの捜査で新事実が次々と明るみに!上層部の思惑ははずれ、特別捜査室は注目されることに!

とにかく面白い!!それぞれの捜査官たちの過去や苦悩もきちんと描かれているし、シリアル・キラーのモンスターぶりも凄くリアル。最初は反目しあっていた捜査官たちも、シリーズを重ねていくうちに信頼関係で結ばれていく。
1冊読んだら、シリーズにはまってしまう、そんな作品です。

段々と凶悪化していく現在の日本の事件の背景も描かれている、異色の警察小説シリーズ!

『SRO 警視庁広域捜査専任特別調査室Ⅰ』
著者: 富樫倫太郎
出版社:中央公論新社
価格:¥800(税別)

謎 解きの逸品?!?乾くるみ「六つの手掛り」

乾くるみ’と言えば、文春文庫『イニシエーションラブ』があまりにも有名です。はまさきもその1作品だけは読みました。
ラストのたった1行で読者を驚愕させる鮮やかな騙しのテクニックに言葉がありませんでした。ただただボーゼン。すごい作家さんです。

その乾くるみさんの最新刊が文庫で発売されました。ロジックを駆使しトリックを解明していく短編集『六つの手掛り』(双葉社文庫)です。

雪の中の一軒屋で起きた密室殺人事件「六つの玉」、十五年前に起きた爆死事件の真相を語る「五つのプレゼント」、大学での
講義中、マジック好きの外国人教授が殺されるESPカード殺人事件「四枚のカード」、

中身を間違えた手紙と留守電が、エリート会社員殺人の謎を解く「三通の手紙」、
特注の掛軸が、凝ったイタズラ大好きな地方の名士が殺された謎を解明する「二枚舌の掛軸」、
決定的な証拠がありありと存在する、ベテラン作家邸殺人事件「一巻の終わり」。

それぞれの謎を鮮やかに突き崩していく、名探偵・林茶父(はやしさぶ)、見た目は‘太ったチャップリン’。
神出鬼没で不思議な風体をしているのになぜか安心感のある彼は、いつでもその場所に溶け込む。事件はそんなに派手でもなく、
地味なんだけどじっくり読んで‘はっ’とする。そして謎が解明されたあとの気持ちの良さ。なるほどと手を叩きたくなるほどのうまさ。
そしてあとがきにも秘密がありますよ~。

本格ミステリーをこよなく愛する人、「謎解きはディナーのあとで」で謎解きの面白さを知った人にもおススメです。

『六つの手掛り』
著者: 乾くるみ
出版社:双葉社
価格:¥600(税別)

嬉しいコラボ作品!今野敏氏最新作『デッドエンド』

はまさき、ミステリー小説も大好きですが、実は警察小説、アクション小説も大好きです。
そして、はまさきの一番好きな作家さんは、今野敏先生です。
今野先生の作品はほぼ全て読みました。作品数が多いので、ファンになりたてのころは、1年の半分は今野先生の作品を読んでいたような気がします。

今野先生は「隠蔽捜査」シリーズで大ブレイクされ、今は警察小説作家さんとして有名ですが、実はアクション小説も描いています。

今回紹介する作品がその代表作。角川春樹事務所「ボディガード工藤兵悟」シリーズ最新作です。

2010年9月に、今井書店グループセンター店で今野先生のトークショー&サイン会を開催したおり、トークショー中、はまさきが先生への質問で「シリーズを越えてのキャラクターのコラボというのはありますか?」との問いに先生が「文春文庫の公安シリーズに登場する、ヴィクトル・オキタとボディガード工藤兵悟とのコラボを考えています」と答えてくださいました。そのときにお話しされていた作品がこの『デッドエンド ボディガード工藤兵悟』(角川春樹事務所)です。先生の最新作でもあり、シリーズを越えての人気キャラのコラボレーション作品。ファンにはたまらない1冊です。

元庸兵で、今はフリーランスのボディガードをしている工藤兵悟は、あるロシア人ビジネスマンのボディガードを引き受ける。ロシアで命を狙われボディガードを雇っていたが、暗殺者に殺されたらしい。その殺されたボディガードは、工藤の昔の庸兵仲間・マキシムだった。工藤とともに数々の戦争を経験し、工藤よりも強いと思っていた、マキシムが殺された・・・。暗殺者はいったいどんなヤツなのか?その日から、工藤と暗殺者との駆け引きが始まった。やがて暗殺者の正体を知る。その名はヴィクトル・タケオビッチ・オキタ・・・・。最強の暗殺者・・・。

年齢を重ねた工藤が渋く描いてあり、ちょっと弱気な面も見せる。前に描かれていた工藤は、強くて近寄り難いイメージで描かれていたが、今回は、人間らしさがにじみ出ていて共感がもてた。また、激しい戦闘シーンが随所に盛り込まれていて凄い。ロシアでの戦闘シーンは映画を見ているようだった。魅力的なキャラクター二人の掛け合い、男同士の友情など読みどころ満載!!今野節炸裂の超!かっこいいアクション小説です。

『デッドエンド ボディガード工藤兵悟』
著者: 今野敏
出版社:角川春樹事務所
価格: ¥1,600(税別)
¥630(税別)

え~っこんな展開になるの!?と驚きのサスペンス!

‘大どんでん返し’え~っこんな展開になるの!?と騙されてしまうミステリ小説は数々ありますが、最近の作品では、これ!が一番面白かった!

宝島文庫『最後の証人』柚月裕子↓

柚月裕子氏は「臨床真理」でこのミス大賞を受賞した、ミステリー作家さんです。

元検察官の佐方は刑事事件を専門に扱うやり手弁護士。(ちょっとすねてる感じがするけど・・・。)
ある高層ホテルの一室で刺殺事件が起こる。物的証拠、状況証拠とともに依頼人が犯人であることを示していた。
男女間の愛憎のもつれが事件を引き起こした、単純な事件。しかし世間の注目の的となり、誰もが依頼人に勝ち目はないと信じて疑わなかった。しかし、佐方だけは、この事件は何かあると感じる・・・。そして依頼人のために真実を追う佐方。

真実はいったいどこにあるのか?勝ち目はないのに、いかにして依頼人を無実にするのか?普通のミステリ小説を読む感覚で読んでいましたが、え~っと声をあげるほど騙されてしまいました。
とにかくいっき読みしてしまいました。

『最後の証人』
著者: 柚月裕子
出版社: 宝島社
価格: ¥590(税別)

人間も震えた!社会派ミステリー「震える牛」の凄さ

今話題の社会派ミステリー小説、小学館『震える牛』相場英雄著 を読みました。帯びにもありますが、’今年のミステリー小説、早くもベスト1!’読んで私もそう思いました。ただのミステリー小説ではありません。
あくまでもフィクションですが、内容はノンフィクションに近い説得力があります。

迷宮入りしそうな目立たない事件を地味に捜査する、ベテラン刑事・田川は、2年前あるレストランで起こった強盗殺人事件を捜査するうちに、全国展開をしている大型SCの不正に行き当たる。
同じ頃、ネットニュース専門の記者が、その大型SCの新たな戦略についてきな臭い事実をつかむ。SCの番頭でもある、滝沢は必死に隠そうとするが・・・・。

田川刑事の地取り、鑑取りにこだわる捜査は、とてもリアル。そこからひとつひとつ関連性を見出し、事件の真相に迫るところは本物の刑事捜査の過程を見ているよう。

また、事件の背景には消費者を無視し、経済活動だけを重視した大型SCの権力構造を描いている。しかもその内容は、あまりにもリアル!!!!!
私たち、もしかしてとんでもないものを食べているのか・・・と震えてしまう。

現代日本の病巣をあまりにもリアルに描いているので、ちょっと恐いです。覚悟して手にとってください。

グループセンター店での展開。たくさん積んであります。

『震える牛』
著者: 相場英雄
出版社: 小学館
価格: ¥1,600(税別)

心霊探偵八雲の次におススメはこれ!

めちゃめちゃ面白い、ホラーミステリー・角川文庫『心霊探偵八雲』シリーズ。今のところ文庫では既刊本7巻と外伝が発売中。巻を重ねるごとに面白さが増していきますよね。アニメ化もされ女性に大人気となっています。

心霊探偵八雲は今のところ全部読んじゃって、次に何がいいのか探している!そんな方々におススメのシリーズがあります。

角川文庫『考古学探偵一法師全』シリーズ。既刊本は3冊。先月4巻目が出ました!!タイトルは、『火神録 考古学探偵一法師全の記憶』です。

怜悧な頭脳とカミソリのような態度。一法師全は、私設研究所に勤務する文化財専門のトラブル・シューターで‘考古学探偵’の異名を持つ。考古学の薀蓄が凄いです。一法師全の毒舌にいつも耐え忍んでいる古屋君の存在も欠かせません!考古学好きのミステリー読者におススメのライトミステリーです。(表紙もかっこいいです!)

今井書店各店のこの看板POPのある店で、コーナー化しています。『心霊探偵八雲』『バチカン奇跡調査官』『考古学探偵一法師全』シリーズが置いてあります。

『火神録 考古学探偵一法師全の記憶』
著者:   化野燐
出版社: 角川書店
価格: ¥514(税別)